空には
  空(く)
  空(くう)
  空(こう)
  空(そら)
  空(から)
  空(うろ)
  空(あな)
  空(こぉん)
  空く(あく)
  空く(すく)
  空ろ(うつろ)
  空ける(あける)
  空しい(むなしい)
  空ける(うつける)
などの読み方があって
どれもが大事な意味を持つ

見上げると 空(そら)は いつもそこにある
朝が日の出とともに光を取り戻すと 空(そら)は刻々と色を変え
日の入りとともに光を失うと 空(そら)は暗闇に包まれる

空(くう)は 幻みたいで 焔みたいで 水中の月みたいで
虚空みたいで 響きみたいで 蜃気楼みたいで 夢みたいで
影みたいで 変化みたいで 鏡中の像みたいだという

空(そら)と 空(くう)は 同じようでいて 同じでない
空(そら)は 誰にとっても空(そら)で 広くて 大きい
空(くう)は 何もなく 空(から)で 広さも大きさもない

森のなかには神がいて
私たちは畏れを持って接してきた
石も木も水も神で 丘も山も海も神で
社だって空(から)にして 清らかにしておけば
神がやって来てくれる
自分自身も空(から)にしておけば
神がやって来てくれる
やって来た神に しばらくのあいだ いてもらうには
神に幸せでいてもらわなければならず
神に幸せでいてもらうには
自分が幸せでなければならない
自分が幸せでいれば
空(から)は神で満たされて
森のなかの神々にも出会えて
空(くう)は零でなくなり
空(くう)は無でもなくなる

もしかしたら君は
神なのかもしれない
だって僕は 移ろいゆくなかで
こんなにも満たされている

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