コーヒー

朝がひかりを取りもどして
地平線が明るく輝くと
仕事に向かう人たちが
ここで温かいコーヒーを飲む
ミルクと砂糖をたくさん入れて
バターをつけたパンを片手に
一日が始まるんだと
笑顔を交わす
今日もいいことが
ありますように
みんなにいいことが
ありますように

夕方の日差しが弱まって
ひかりを失いはじめると
一日の仕事に疲れた人たちが
ここで苦いコーヒーを飲む
ミルクも砂糖も入れないで
今日一日の嫌なことと
思うようにならない虚しさで
無口になってしまう
まわりを見ようにも
下しか見れず
食べることも忘れて
コーヒーを口にする

朝のコーヒーと夕方のコーヒーは
まったくの別物で
違う空気と違う音のなかで
希望と絶望が交錯する

コーヒーの香りも味も
同じなはずなのに
違うと感じるのは
なぜだろう

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