夢のようなもの

恋も愛も 誤解と錯覚と思い込みと変な期待の集合体だという
言葉を間違って理解する誤解
実際とは異なる認識による錯覚
相手を好きになったという思い込み
相手がこちらのことも好きになったという期待

都合のいい誤解と錯覚が絡み合って広がり
都合のいい思い込みと変な期待が膨らんで
大きくなる必要のない恋や愛が大きくなる
いろいろなことが集まって恋や愛になる
だから恋も愛も ぼんやりとしか見えてこない

恋も愛も 誤解と錯覚と思い込みと変な期待だなんて
そんなことを聞いて嬉しい人はあまりいない
そんなのはイヤだなっていうことになる
恋も愛も もっといいものじゃなきゃ イヤだ
ほんとうのものじゃなきゃ イヤだ

だったら もっといい恋をすればいい
ほんとうの愛をつかめばいい
もっといい恋 ほんとうの愛
それならみんな喜ぶのだろうか
でも いい恋も ほんとうの愛も 誤解と錯覚だ

そんなに素敵でない人が とても素敵に見えたり
その人のためにすべてを失ってもかまわないと思ったり
その人と二人だけでいられれば あとはなにもいらない
そんなのは 幸せだけれど やっぱり みんな 誤解と錯覚
日々の暮らしの確かさとは やっぱりなにか違う

それが恋だし 愛なのだから
誤解や錯覚があるから魅力的なんだって思って
思い込みと変な期待があるから夢みたいなんだって思って
だから恋したいって思えないか
だから愛を手に入れたいって思えないか

時や所が違えば 恋とか愛とかの意味も違ってくる
男が やりたい というのを
愛してる という場合もある
女が 結婚したいというのを
愛してるっていう場合もある

昔は かなし という話し言葉に
愛 という文字を当てた
かなし は いとしい いとおしい かわいい
そして 守りたいという思いを抱くこと
愛 にはそんな意味があった

そこに ヨーロッパから
ラブとかアムールとかいった
訳の分からない概念が持ち込まれて
それに恋とか愛とかいった文字を当てたから
変になってしまった

恋とか愛とか口にしていても
みんなが同じことを意味してはいない
みんなが自分に都合よく理解している
だから 誤解や錯覚でいい
どうせ実態はないのだから

そう 恋も愛も
はじめから実態がない
迷路の庭園に迷い込んだみたいに
万華鏡のなかに入ったみたいに
夢のようなものなのかもしれない

2 thoughts on “夢のようなもの

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