錯覚

なにかを集中して考えていると
それだけが重要に思えて
間違いを犯してしまったり
大切なものを失ったりする

大切な人が歪み
大事なものが歪み
感覚が歪み
錯覚に落ちる

現実と非現実の境界線がぼやけると
鮮やかな赤が 侘び寂びの色に溶け
真っ白な磁器が 土色の陶器になり
長い時間の変化が 未来を過去にする

朽ち果てた神社を修繕し赤く塗って
建てられた頃の神社に戻してしまおう
焼き色の残る陶器を箱にしまって
透き通るような白い磁器を飾ってみよう

教科書のなかにはない美しさのなかに
木と草と水の美しさのなかに
いつか住む
程々の家という錯覚のなかに住む

2 thoughts on “錯覚

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