きれいすぎない籠

とってきた竹を
余すところなく使って
作られた籠は
きれいすぎない籠

暮らしの道具として
軽さと強さを そして
繊細さと大雑把さを
併せ持っている

節回りの皮をとらず
自然の色合いを残す
きれいにしすぎたら
素朴さがなくなる

皮をすべて取り去って
色目を合わせてできた籠は
きれいな光沢を放ちながら
使われずに飾られている

きれいすぎない籠は
毎日のように使われて
使われたものだけが持つ
美しさを手に入れる

きれいすぎない籠に
入れられた物たちが付けた
傷やへこみのひとつひとつに
思い出が宿っている

きれいすぎる籠は
誰にも持たれることがなく
きれいすぎない籠は
君の手のなかで揺れる

終わった過去と知らない未来に
きれいすぎない籠が彩を添え
程々の時のなかで
君がそっと微笑んでいる

1 thought on “きれいすぎない籠

  1. shinichi Post author

    (sk)

    第241作
    A basket that is not too beautiful

    戸隠手力屋の中川綱昌さんが作った籠から何らかの刺激を受けて

    Reply

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