僥倖

誰にも僥倖はあるという
でも
富裕層には僥倖が多く訪れ
貧困層には僥倖はあまり訪れない

知る人のいない社会では
僥倖を感じることが多い
それなのに 慣れ親しんだこの社会では
僥倖を感じるのは稀だ

富裕層は個人個人に適った特別な医療を受け
中間層は標準値を基本にした一般的な医療を受け
貧困層は保険で支払われる最低限の医療を受ける

富裕層は将来に的を絞った特別な教育を受け
中間層はマスを対象にした一般的な教育を受け
貧困層は法律で決められた最低限の教育を受ける

結果の平等から 機会の平等に 変わったという
でもそれは
見える不平等から 見えない不平等に 変わっただけのこと
結果の不平等を見れば 機会の不平等は明らかだ

旧富裕層が集まる場所には お屋敷街が広がっていて
子どもたちは有名校に通い 高級外車があたりまえ
新富裕層が集まる場所には 高層マンションが建ち並び
カタカナの職業の人たちが 人脈を作りビジネスを拡大させる

旧貧困層が集まる場所には サラ金の ATM やテレクラ店が並び
パチンコ屋で会う仲間にしか 通じない心と言葉がある
新貧困層が集まる場所には ネットカフェや健康ランドがあって
コールセンターや倉庫での仕事は 日雇いという底辺を作る

固定化された旧富裕層と ふわふわした新富裕層とで
富裕層は増大し
固定化された旧貧困層と 絶望的な新貧困層とで
貧困層は増大する
格差の拡大は続き 中間層は減り続ける
断絶した社会に 幸せはない

格差の拡大した社会で 誰に僥倖が訪れるのか
まあ そんなことは どうでもいい
君に僥倖が訪れる
それだけでいい

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