社会インフラ

社会インフラという言葉がある
まず頭に浮かぶのがコンクリートにケーブル
上下水道管 電線 ガス管 道路 鉄道 通信網
橋 トンネル ダム 港湾 工場 商店 食堂 銭湯
学校 病院 図書館 住宅 集会所 公園
競技場 美術館 劇場 音楽ホール

社会インフラは 後世に遺跡として残る
闘技場や劇場が残っていれば
格闘技や演劇が盛んだったのだろうと想う
公共浴場が残っていれば
落ち着いた社会を思い浮かべる
巨大な壁が続けば 外敵が思い浮かばれ
城や神社仏閣からは 権力が偲ばれる

遺跡は そこにいた人たちが
どんな人たちだったのかを語る
何を大切にしていたのか
どんな社会を作りたかったのか
そんな諸々を 見せてくれる
上下水道管が陶器でできていて
そのひとつひとつに花が描かれていれば
心豊かな人たちを想像するし
図書館の棚が延々と続いていれば
本を愛した人たちが浮かんでくる

どんな社会も永遠には続かず
最後は必ず滅びる
豊かな社会も貧しい社会も
最後は必ず滅びる
社会インフラは必ず老朽化し
そして朽ちる
でもだからといって
社会インフラが疎かにされるのは悲しい

個人の場所しかなくて
みんなの場所がないのは悲しい
海辺や湖畔が外の人たちに占領され
地元の人たちが行けないというのはおかしい
個人の図書館しかなくて
みんなの図書館がないのは悲しい
スポーツや音楽が金持ちだけのものになり
普通の人たちが楽しめないのはおかしい

学校が消えて予備校が残り
学ぶことがなくなり受験テクニックだけが生き延びる
農業や工業が消えて商業と金融が残り
サービスとマネーゲームだけが栄える
人々の心がすさみ
社会インフラは立ち行かなくなる
人々の心がなくなってゆけば
社会インフラは消えてゆく

どんなこともカネに換算され
なにをするにもカネが要る
息をするのにもカネの要る社会が
目の前まで来ている

One thought on “社会インフラ

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