人の心

紀貫之が
 やまとうたは人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける
という
 心に思ふことを見るもの聞くものにつけて言ひ出せるなり
ともいう

鴨長明が
 ゆく河の流れは絶えずして しかももとの水にあらず
という
 淀みに浮かぶうたかたは 久しくとどまりたるためしなし
ともいう

吉田兼好が
 心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書きつくれば
という
 いでやこの世に生れては ねがはしかるべきことこそ多かめれ
ともいう

清少納言が
 春はあけぼの 夏は夜
という
 秋は夕暮れ 冬はつとめて
ともいう

百年経っても 千年経っても
人の暮らしは変わらない
天災や人災は繰り返し
人の心は文字になる

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