イリュリア

イリュリアは 昔々に
バルカン半島の西側の地域に存在した国で
架空とはいえ
シェイクスピアの『十二夜』(1602年2月2日初演)や
サルトルの『汚れた手』(1948年4月2日初演)の
舞台になっている
ぼんやりとして 知らないイリュリアという場所に
惹かれる

ハプスブルク家の領土だったイリュリアを
ナポレオンがフランス帝国に編入し
1809年から1813年まで
フランス領イリュリア州として治めていた

1849年に
オーストリア帝国の支配下のイリュリア王国が消え
百年後にサルトルがその名を蘇らせる
消えては蘇るイリュリアという名前は
不思議ではないか

クロアチアのドゥブロヴニクの旧市街を歩けば
シェイクスピアの『十二夜』の舞台となったイリュリアは
間違いなく「ここ」だと思う
シェイクスピアが想像をかき立てられたのは
間違いなく「ここ」なのだ

バルカン半島のこのあたりは
ユーゴスラヴィアの一部とか
クロアチア モンテネグロ アルバニアといった認識だけど
イリュリア人の祖先は 青銅器時代にイリュリア地方に定着し
。。。とか
3世紀にはイリュリア出身者が何人もローマ皇帝に即位し
。。。とか
そんな記述を見ると うーんとうなってしまう

アドリア海を挟んでイタリアの対岸であるイリュリア
確かに想像をかき立てられる場所だ

チトーがスターリンと対立して
ユーゴスラビアがコミンフォルムを追放され
ソ連の支配から外れて独自の路線を歩き始めた1948年に
演じられた『汚れた手』が
どの程度ユーゴスラビアの現実を描いていたのか

でもそんなことよりも
イリュリアといわれているあたりで
ゆっくりしてみたい
海を見ながら
なにもせずに すごす
イリュリアは きっと
なにかを感じさせてくれる
きっと

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