本の劣化

紙でできている本は劣化する
きれいな状態で保管したいと思っても
気がつけば劣化している
木に含まれている成分のせいで
変色したり退色したりする
製造工程で使われる薬剤のせいで
紙がもろくなって破れたりもする

光が当たれば劣化して
温度や湿度の変化で劣化する
空気に触れれば劣化して
カビとか虫とかで劣化する
そしてなによりも
人が触れることで劣化する

本屋の本も 図書館の本も
君の本も 僕の本も
まるで生きもののように
最後は朽ちて果てる

2 thoughts on “本の劣化

  1. shinichi Post author

    書籍や紙は何故劣化するの?劣化の要因と対策方法のご紹介

    そのままスキャン

    https://blog.sei-syou.com/2019-03-25/

    職場で大切に保管してきた貴重な書籍、いつまでもきれいな状態で残しておきたいですよね。

    残念ながら、本は長い年月を経ると、ページが黄ばんできたり、シミができたり、退色したり、紙がもろくなってページを開くだけで破れてしまったり、と様々な劣化の症状が出てきます。

    大切な書籍を今後も長く活用していくために、劣化は書籍の宿命だと思ってあきらめずに、きちんとした対策をとる必要があります。

    そこで今回は、そもそもなぜ書籍は劣化してしまうのか、その原因を挙げながら、劣化を防止する効果的な対策方法をご説明します。

    書籍の劣化が起こる原因とは?

    書籍の劣化が起こる原因はひとつではありません。大きく分けると内的な原因と外的な原因があります。では考えられる主な原因を挙げてみましょう。

    紙に含まれる劣化成分

    そもそも書籍に用いられている紙そのものに、劣化を引き起こす成分が含まれていることをご存知でしょうか。

    具体的に言うと、紙の原料となる木材に含まれているリグニンという成分、そして紙の製造工程で用いられた硫酸アルミニウムです。

    リグニンは、木材がもともと持っている成分です。簡単に説明すると、木が強く頑丈な幹を作るためにリグニンは重要な働きをします。しかし困ったことに、このリグニンは光に触れると変色する性質があるのです。

    丁寧に漉き込まれた日本伝統の和紙と違い、木材を機械で粉砕して作るパルプを原料とする洋紙には、このリグニンが多く含まれています。リグニンが特に多く含まれている新聞紙が、時間の経過とともに黄色く変色していくのはこれが原因です。

    もう一つ硫酸アルミニウム(硫酸バンド)は、かつて洋紙の製造工程でインクのにじみ止め効果を目的に用いられていた薬品です。この製造工程を経て作られたのが酸性紙と呼ばれる紙です。

    硫酸アルミニウムは、水分と反応して硫酸を発生させます。硫酸ですから、当然紙そのものを破壊していきます。少し専門的な説明をすると、硫酸が紙の繊維であるセルロースを加水分解してしまい、紙の強度が弱くなってしまうのです。

    古い書籍の紙が、ぱりぱりと硬く、触っただけで割れてしまうほどもろくなっているのは、このように紙が酸化してしまっているためなのです。

    現在では書籍に用いられる上質紙は、基本的にすべて硫酸アルミニウムを使わずに製造された中性紙となっていますから、そこまで劣化が素早く進むということはありません。しかし酸性紙が問題視され、中性紙の開発が進んだのは1980年代あたりからです。当然それ以前に作られた貴重書は、酸化しやすい成分を含んでいる可能性が高く、保管には十分な注意が必要です。

    紙そのものに含まれる劣化成分のほかに、書籍の劣化には外的な要因も数多くあります。

    まずは光です。自然光いわゆる太陽の光や一般的な蛍光灯の光には、目に見えない紫外線が含まれています。ご存じの通り過度の紫外線は人の肌に悪影響を与えますが、同じように、紙そのものを劣化させ、また印刷を退色させてしまいます。

    そして先ほど説明したように、紙に含まれたリグニンは光の影響で変色が進行しやすいという特徴があります。貴重な書籍は、なるべく紫外線から遠ざける必要があるでしょう。

    紫外線の他にも、太陽光や白熱灯(ほとんど見かけなくなりましたが)に含まれる赤外線は、熱を生み出す性質があり、紙を乾燥させて劣化を進めてしまいます。

    書籍に光を当てることは、こうした紫外線や赤外線のダメージを与えていることだと理解しておきましょう。

    温湿度の変化

    書籍は当たり前ですが、紙でできています。紙は温度や湿度の変化に敏感です。

    紙にとって保存に適した理想の温湿度は、温度20度前後、湿度60%前後とされています。それよりも高温になるほど紙の寿命が短くなることが明らかになっていますし、湿度が高くなると、カビが発生するリスクが高まります。また、先ほど触れた酸性紙の場合、特に湿度の変化の影響を受けやすく、紙の酸化が進行してしまうため注意が必要です。

    可能な限り、温湿度の上下動がない環境が求められますが、そうした保存環境を整えることは簡単ではありませんよね。

    有害ガス

    空気中には書籍にとって有害なガスが数多く含まれています。アンモニア、酢酸、ギ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどです。

    書籍の劣化を進めるこうした有害ガスは、自然の木材(桐、杉、檜)からも発生しますし、建築資材から発生するものもあります。そのため、どんなに資料の保存を意識して設計された図書館や美術館の収蔵庫でも、有害ガスの発生がゼロになることはありません。

    アーカイバル容器などの保存箱に入れずに生身の状態で置かれている本は、こうしたガスに終始さらされていると考えた方がいいでしょう。

    カビ

    書籍の劣化は上記の原因の他にも、カビの被害も見逃せません。カビはフォクシングという斑点を紙に作ってしまい、一度斑点ができてしまうとカビをとっても斑点は消えません。

    カビの原因は、ひとつは堆積したほこりや手あかなどに含まれる栄養分です。ほこりの中には、綿ぼこりだけでなく、人間のふけや髪の毛、ダニの死骸など有機物が含まれています。これを栄養分にしてカビは繁殖するため、書籍にはほこりがたまらないようにすることが重要です。また貴重な書籍を扱う場合は、カビの栄養分となる皮脂がつかないように手袋をして取り扱うと防止効果が高まります。

    カビの原因のもうひとつは相対湿度が高い環境です。相対湿度が70%の環境下では、およそ3~4か月でカビが発生すると言われています。65%の場合は、3年程度でカビが発生します。気を付けなければいけないのは、書籍を置いている部屋全体の湿度がそれほど高くなくても、壁際など局所的に結露が生じる場合があり、こうした箇所に書籍を置いているとカビが発生してしまう危険性があります。となりの部屋との寒暖差をなくす、部屋の空気を循環させて湿気だまりを作らないようにする、などの対策も考えましょう。

    また、カビは書籍の劣化を引き起こすだけではなく、人間の体内に入ると深刻な症状を引き起こす場合もあるため、そうした意味でも発生は極力防がなくてはいけません。

    虫害

    紙魚(シミ)やゴキブリ、シロアリなどによって紙が食べられてしまう虫害も、深刻な被害をもたらします。劣化とは少し違うかもしれませんが、保存環境に問題があると発生するという意味では、虫による損傷も劣化と同じように対策をとる必要があるでしょう。

    紙を好んで食べる文化財害虫に分類される虫としては、シバンムシ類,シミ類,ゴキブリ類のほか,チャタテムシ類,アリ類,シロアリ類,ヒラタキクイムシ類,チビタケナガシンクイなどがいます。

    虫害を防ぐためには、ほこりをためない、湿気をためない、食べかすなどのエサを残さないなど、部屋の衛生環境を清潔に保つことが重要です。

    物理的損傷

    書籍を頻繁に取り扱うことによる物理的な傷みも、劣化を進める大きな要因と言えます。書籍は、手に取って開いて中を読むという行為が不可欠ですから、どうしても年月とともに劣化することが避けられないと言わざるを得ません。

    それでも、貴重な書籍であればカバーをつけて直接表紙が傷まないようにする、閲覧する機会を制限するなど、現状に合わせた現実的な対策を考慮する必要があります。

    書籍の劣化を防ぐためにできることは?

    それでは次に、書籍の劣化を防ぐ、もしくは遅らせるためにはどのような手段があるかをご説明します。

    脱酸性化処理

    上記の通り、書籍の劣化には紙そのものが持つ成分という内的要因と、光、温湿度、ガスなどといった外的要因があります。

    まず内的要因として挙げました、製造工程で硫酸アルミニウムが用いられた酸性紙の場合は、紙が酸化することを防ぐために脱酸性化処理を行うという対策方法があります。

    具体的には、紙の中の酸性物質を洗い流す方法、アルカリ性剤を溶かした水に本を浸けて、紙が持つ酸の成分を中和する方法、そしてアルカリ性剤を紙に残留させて再酸性化を防止するといった様々な方法があります。脱酸処理によって酸性紙の寿命が3~5倍のびると言われていますが、書籍の写真や革、色材などにアルカリ成分が影響を与える懸念もあるため、慎重に処置を検討する必要があります。

    アーカイバル容器を使った保管

    書籍の劣化を引き起こす外的な要因として挙げた光の問題を解決する方法としては、太陽光や蛍光灯の光が直接あたらないように保管すること、貴重な書籍であればできれば保存箱のようなものに入れることをおすすめします。

    保存箱に入れるメリットは光だけではありません。有害ガスから書籍を遮断する、カビの原因となるほこりの堆積を防ぐ、虫の侵入を防ぐ、温湿度の変化がゆるやかになる、などの理由からも、保存箱を使った収納は有効です。

    伝統的な保存箱としては、桐製の箱などがありますが、こうした木材からもガスは発生するため、中性紙素材のアーカイバル容器を用意する必要があります。中性紙と言っても、厳密に言うと酸性ではなく弱アルカリ性(pH7.5~8.5程度)の紙が用いられることが一般的です。ただし、そうした微量のアルカリ成分が影響を与える場合(前述の通り、写真や革、色材など)もあるため、その時はまったくアルカリ成分を含まない無酸の容器を作らなくてはいけません。

    アーカイバル容器の機能面の進化は目覚ましく、紙の中に調質材を漉き込んだ中性紙や、汚染ガスを吸着する機能を持たせた紙なども開発されています。用途に応じたアーカイバル容器を使いましょう。

    もちろん保存用のアーカイバル容器に入れたからといって、あとはどんなところに置いても大丈夫というわけではありません。アーカイバル容器に入れた上で、温湿度の変化がなるべく少なく、適度な温湿度を維持できるところで保存することが大事です。

    定期的なコンディションチェック

    書籍の劣化は少しずつ進行していきます。定期的に目で見て、触ってみて点検する必要があります。

    アーカイバル容器に収納すると、それで安心してしまい、この定期的なチェックを怠る心配がありますが、劣化の症状を早期に発見できれば、対策もとりやすいため書籍に対する目配りや気配りを忘れないようにしましょう。

    コンディションチェックをする時のポイントとしては、ほこりがたまっていないか、カビが発生していないか、虫食いは発生していないか、紙が変色したりシミができていないか、といった点に注意するといいでしょう。もしカビの発生が確認された場合は、消毒用エタノールを含ませたペーパータオルでふき取りましょう。

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