朽木誠一郎

公的機関が推奨するにあたっては、その情報は複数の専門家が世界や国内のデータを検証した上で、その機関が責任を持って提言しているはずのものです。他の情報よりも信頼性は高いと言えるでしょう。
そして、その情報が修正されたときに、柔軟にそれを受け入れることが必要です。

3 thoughts on “朽木誠一郎

  1. shinichi Post author

    妊婦と「飲酒」「体重増加」にみる指導の変化 情報とどう向き合う? 「言ってること違う」と思わずに

    朽木誠一郎

    https://news.yahoo.co.jp/articles/24714e7e2d91c07da4b3b5f97ec4c0a601b08885

    現在、公的機関の推奨は「妊娠中は完全に禁酒」。しかし、かつて「ちょっとならOK」とされていた時代もありました。同様に、最近になって妊婦の体重増加の目安が引き上げられ、以前なら体重が「増え過ぎ」と注意されていた妊婦も、今なら指導を受けない可能性が。妊娠にまつわる情報の変化とどのように向き合えばいいのでしょうか。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎)

    この20年で大きく変化した「飲酒」

    きっかけは、妊娠経験者同士がこんな会話をするところに、居合わせたことでした。

    「お酒が好きなのに、かかりつけ医から妊娠中は『絶対にNG』って言われちゃって……」
    「えっ、私は他のママ友から『お酒はちょっとならOK』って言われたよ」

    どちらが正しいのか、調べてみることにしました。結論から言うと、妊婦の飲酒は「量によらず全期間についてNG」です。

    現在、厚生労働省や日本産科婦人科学会は「アルコールは少量でも赤ちゃんに悪い影響を与えるため、飲酒は全期間についてNG」という見解です。

    「悪い影響」とは具体的にどのようなものか、なぜ起きるのかについて、産婦人科専門医の太田寛さんを取材しました。

    アルコールは胎盤を通過し、へその緒を介して赤ちゃんに届いてしまいます。妊娠中のアルコールの影響により、赤ちゃんに起きる低体重や、顔面を中心とする形態異常、脳障害などの異常は、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)と言われます。これに治療法はなく、予防が唯一の対策です。

    では、どうして「ちょっとならOK」と思う人がいるのでしょうか。実は、妊婦への指導の内容は、近年、変わってきたのです。

    産婦人科医の職能団体である日本産婦人科医会の公式サイトには、現在は量によらず全期間についてNGであることを前提に、「ビール350mL缶1本程度であれば児に影響はないと以前は説明されることがあった」とあります。

    これが変わったのは、近年の研究により、飲酒の量や時期によらず、FASDの発症リスクがあることがわかってきたから。

    今でこそ、飲酒が量によらず全期間についてNGであることは、母子手帳などにも記載され、妊婦さんに知る機会があります。厚生労働省によれば、妊娠中の女性の飲酒率は18.1%(2000年)、8.7%(2010年)、4.3%(2013年)と減少し、近年は1%台を推移しています。

    逆に言えば、2000年ごろには約20%の妊婦が程度の差はあれ、飲酒をしていたということです。この20年で大きく変化していることがわかります。

    この時代に「ちょっとならOK」と指導をされた人、その周りの人は、今でも「ちょっとならOK」と思っている可能性があることになります。太田さんは以下のように話します。

    「“ママ友”の間で『ちょっとくらいならOK』と言われることもあると聞きますが、『ここまでなら大丈夫』という飲酒量はわかっていません。実験するわけにいきませんから難しいでしょう。

    今のところ、FASDは大量の飲酒・妊娠初期の飲酒・習慣的な飲酒(依存症)でリスクが上がると考えられています。『ちょっとくらいなら』はこうしたリスクにつながるため、やはり妊娠中は禁酒をお願いしています」

    最近でも「体重管理」に大きな変化が

    妊娠にまつわる取材をしていると、妊婦さんの困りごととしてよく聞くのが、「妊娠中の体重管理が大変だった」という声です。

    妊娠経験者の中には、妊婦健診の体重測定で「増え過ぎ」と注意されたことがある人もいるのではないでしょうか。

    妊娠中は赤ちゃんや、赤ちゃんを育てる胎盤や羊水、母体の血液循環量の増加などにより、体重が増えやすくなります。そのため、「どれくらいの増加であれば問題ないか」の目安が定められています。

    実は、この目安は2021年3月、全体的に引き上げられたものです。

    これは日本産科婦人科学会が新たに公開した「妊婦の体重増加指導の目安」についてのこと。新しい目安では、従来の基準より数値が約2~3kg引き上げられました。もともとやせているか標準体形の妊婦には、従来よりも体重増加を促す内容です。

    そして、厚生労働省も同年3月末に「妊娠前からはじめる妊婦の食生活指針」を公開。その中で、この「妊婦の体重増加指導の目安」の数値を推奨したのです。

    もともと、日本の妊婦の体重管理は世界的にも厳しいことが指摘されていました。これは、日本産科婦人科学会が妊娠高血圧症候群(当時は妊娠中毒症と呼ばれていた)を減らすため、1997年に出した妊娠中の体重増加の指標に準じたものとされます。

    この指標は、妊婦の自然な体重増加の値を下回る危険性があること、妊娠高血圧症候群の予防につながるエビデンスが乏しいことから2019年に取り下げられました。妊婦のやせ過ぎもまた、切迫早産、早産、貧血および低出生体重児分娩などのリスクになるからです。

    さらに『産婦人科診療ガイドライン産科編2020』では「妊娠中の栄養指導に関して、現時点では厳しい体重管理を行う根拠となるエビデンスは乏しく、個人差を配慮してゆるやかな指導を心がける」と推奨されるようになりました。

    それがさらに今回、妊婦約42万人のデータを基にした見直しにより、新しい目安に置き換わった、ということです。

    一方で、ネットで検索をすると、旧指標に準じたサイトや記事がまだ上位に表示されています。その中には“医師監修”として、医師がチェックしたことで信頼性をうたうものも。

    こうした記事は、たしかに公開当時は“正確”だったかもしれません。しかし、時間が経ち、推奨内容が変わると、妊婦の飲酒同様に、体重の「増え過ぎでは」という間違ったアドバイスを引き起こしてしまう可能性があります。

    「言ってることが違う」と思わずに

    「言っていることが違う」と苛立つ気持ちはきっと、誰にもあるものでしょう。

    医療はまさに日進月歩で発展します。赤ちゃんや妊婦の健康を守るために、妊婦の飲酒や体重増加の影響が研究され、知見が蓄積していき、その過程では従来の指導内容が覆されることも。しかし、それによりリスクが避けられるなら、悪いことではないはずです。

    飲酒や体重増加の事例からは、情報をアップデートする重要性、特に自分が当事者でなく、最新の情報に接しにくいとき、軽はずみに当事者にアドバイスをしてしまうことの危険性がわかります。

    そのため、妊婦さんやその周囲の人が妊娠についての情報を探すときは、まずは厚生労働省など、公的機関の発信する最新の情報を参照するようにしましょう。また、妊婦さんに何かアドバイスをしたくなったら、「自分のときはそうだったけれど、今は違うかもしれない」と一旦、立ち止まることも必要です。

    この公的機関というのも大事なところで、ただ最新なだけの情報は、正しいかどうかの検証がなされていないだけのこともあります。

    公的機関が推奨するにあたっては、その情報は複数の専門家が世界や国内のデータを検証した上で、その機関が責任を持って提言しているはずのものです。他の情報よりも信頼性は高いと言えるでしょう。

    そして、その情報が修正されたときに、柔軟にそれを受け入れることが必要です。妊娠など医療に関わる情報は、アップデートされるもの。ただでさえ妊娠中は肉体的、精神的な負担が多いものですから、そういう心構えでいる方が、結果的に、赤ちゃんや妊婦さんを守ることにつながると言えそうです。

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  2. shinichi Post author

    Fetal Alcohol Spectrum Disorders (FASDs)

    https://www.cdc.gov/ncbddd/fasd/alcohol-use.html

    Alcohol Use During Pregnancy

    There is no known safe amount of alcohol use during pregnancy or while trying to get pregnant. There is also no safe time for alcohol use during pregnancy. All types of alcohol are equally harmful, including all wines and beer.

    FASDs are preventable if a baby is not exposed to alcohol before birth.

    Why Alcohol is Dangerous

    Alcohol in the mother’s blood passes to the baby through the umbilical cord. Alcohol use during pregnancy can cause miscarriage, stillbirth, and a range of lifelong physical, behavioral, and intellectual disabilities. These disabilities are known as fetal alcohol spectrum disorders (FASDs). Children with FASDs might have the following characteristics and behaviors:

    • Abnormal facial features, such as a smooth ridge between the nose and upper lip (this ridge is called the philtrum)
    • Small head size
    • Shorter-than-average height
    • Low body weight
    • Poor coordination
    • Hyperactive behavior
    • Difficulty with attention
    • Poor memory
    • Difficulty in school (especially with math)
    • Learning disabilities
    • Speech and language delays
    • Intellectual disability or low IQ
    • Poor reasoning and judgment skills
    • Sleep and sucking problems as a baby
    • Vision or hearing problems
    • Problems with the heart, kidney, or bones

    How Much Alcohol is Dangerous

    There is no known safe amount of alcohol use during pregnancy.

    When Alcohol is Dangerous

    There is no safe time for alcohol use during pregnancy. Alcohol can cause problems for the baby throughout pregnancy, including before a woman knows she is pregnant. Alcohol use in the first three months of pregnancy can cause the baby to have abnormal facial features. Growth and central nervous system problems (e.g., low birthweight, behavioral problems) can occur from alcohol use anytime during pregnancy. The baby’s brain is developing throughout pregnancy and can be affected by exposure to alcohol at any time.

    It is never too late to stop alcohol use during pregnancy. Stopping alcohol use will improve the baby’s health and well-being.

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  3. shinichi Post author

    (sk)

    信頼性が高いから従わなければいけないと言われても、従わない勇気を持たないとろくなことがない。

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