魔法のような景色

山の奥のほうに滝があり
そこまで行けば
魔法のような景色が
広がっているという

魔法のような景色が
どんな ものなのか
見てみたいと思って僕は
山道の入口に車を駐め
山の奥に踏み入っていった

直線の上り道が
どこまでも続き
下にあるだろう沢からは
どんどん離れていく気がする

もうこれ以上登れない
そう思った時
沢に降りる道が
現れる

幻の滝に
たどり着くに違いない
魔法のような景色に
あえるに違いない
そう思って僕は
傾斜のきつい細い道を下る

道はどこまでも続く
滝は現れてこない
魔法のような景色も
見えてこない

これ以上下がってしまえば
二度と上の道には戻れない
そう思った僕は
滝も景色も諦める

あと1キロ先に行けば
いや あと30メートル行けば
滝が見えてきたのかもしれない
魔法の景色に出会えたのかもしれない
そういう思いを閉じ込めて
細い道を上る
いくら上っても
上の道には戻れない
二度と戻れないのではと思った時
上の道が突然現れた

直線の道を下る
いくら下っても
車を駐めた場所は
見えてこない
直線の道は永遠に続く
このまま車には戻れない
そう思った時
目の前に
滝が
魔法のような景色が
見えた気がした

2 thoughts on “魔法のような景色

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