石川九楊は
美は言葉とともにある人間にしか存在しない
と書いた
美は天を戴き 重力戦のふりそそぐ世界にしか存在しない
とも書いている
美は
人が何かを捉え 感じることで生まれる
心も
捉えられ 感じられることで 美となる
何かが美しいわけではない
心が美しいわけでもない
石川九楊は
美とは 重力に抗して立つ人間の姿 たたずまいの別名である
それはすなわち 世界における人間のふるまい 言葉のふるまい
すなわちスタイル=文体の別名である
とまで書く
美はスタイルとともにある
と言い切る
人の 立つ すがた
人の たたずまい
それが美だというのなら
僕は美から遠い
でも 君は美だ
僕は そう思っている
(sk)
第604作
Beauty
失われた書を求めて
by 石川九楊
(2006)
V 作品 - 未来
美
はじめ、
山の美は
人が山を目で捉え 感じることで生まれる
空も海も
人が目で捉え 感じることで 美となる
山が美しいわけではない
空や海が美しいわけでもない
と書いた。でも
目が見えない人も美を捉えることができる
そう思って、文章を削除した。
その後、沈黙について考えた。
白紙についても考えた。
そして残った文字を並べてみた。
なんとも心もとない。