杉浦日向子

 粋は低出力の美学です。白粉を塗り、美服をまとい、宝石をちりばめる、バリバリにリキの入った、ガスイーターのキャデラック型満艦飾ではなくて、磨きあげた素顔に、渋好みの極致黒仕立て、ツール・ド・フランスのチャリンコ型美学です。その辺のゼロハンより役に立たなくても、かかるゼニコはベラボーです。実用外の贅沢、すなわち、「無用の贅」こそが粋の本質です。
 無用の贅。日常生活に少しも必要ではない暇潰しと、何の役にも立たない座興に溺れてひたすら消費する。これが、粋な人の生き方です。

3 thoughts on “杉浦日向子

  1. shinichi Post author

    江戸の遊びは、無駄を楽しみ、常に感性を磨き競い合うこと。
    不必要と思われるところに機知を駆使することで遊びが文化に高まるんです。

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  2. shinichi Post author

    遊びって自分の人生なり、命なりを、時間なりスリルなりと取り引きしてやるものですよ。
    そういう意味では現代人は遊んでないということでしょう。

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