石川啄木 1 Reply たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢつと手を見る 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ
shinichi Post author05/11/2022 at 6:23 pm 東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる 砂山の砂に腹這い 初恋の いたみを遠くおもひ出づる日 いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指のあひだより落つ 頬につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく かにかくに渋民村は恋しかり おもひでの山 おもひでの川 石をもて追はるがごとく ふるさとを出でしかなしみ 消ゆる時なし やはらかに柳あをめる 北上の岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな 地図の上朝鮮国にくろぐろと 墨を塗りつつ 秋風を聴く Reply ↓
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
砂山の砂に腹這い
初恋の
いたみを遠くおもひ出づる日
いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ
頬につたふ
なみだのごはず
一握の砂を示しし人を忘れず
ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく
かにかくに渋民村は恋しかり
おもひでの山
おもひでの川
石をもて追はるがごとく
ふるさとを出でしかなしみ
消ゆる時なし
やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
地図の上朝鮮国にくろぐろと
墨を塗りつつ
秋風を聴く