翻訳(堀茂樹、菊地よしみ)

翻訳をした堀茂樹さんが
『L’Occupation』に
『嫉妬』という題名をつけ
翻訳をした菊地よしみさんが
『L’Événement』に
『事件』 という題名をつけ
『嫉妬/事件』という本ができた
でもそれは
Annie Ernaux の
『L’Occupation』『L’Événement』とは
少しだけ違う
堀さんが『嫉妬』でなく
『あたまのなかを占めていること』
菊地さんが『事件』でなく
『出来事』という題名をつけて
『あたまのなかを占めていること/出来事』
という本ができていたら
ほんの少しだけ
『L’Occupation, L’Événement』に近かった
。。。そんな気がする
そんなことを思っていたら
『L’Événement』が映画化されて
日本にもやってきて
昨日から上映されている
題名は誰がつけたのか『あのこと』
『出来事』
『できごと』
『あのできごと』
『あのこと』
『L’Événement』に近い
『事件』よりずっと近い
たかが題名
されど題名
でも
映画の題名が『事件』でなくて
よかった
『あのこと』で
よかった

4 thoughts on “翻訳(堀茂樹、菊地よしみ)

  1. shinichi Post author

    嫉妬/事件

    by アニー・エルノー
    translated by 堀 茂樹  (嫉妬)
    translated by 菊地 よしみ(事件)

    Reply
  2. shinichi Post author

    アニー・エルノーからの手紙

    映画『あのこと』を鑑賞し、私はとても感動しています。オードレイ・ディヴァン監督に伝えたいことはただ一つ。「あなたは真実の映画を作った」ということです。

    ここでいう真実味というのは、法律で中絶が禁止され、処罰されていた1960年代に、少女が妊娠することの意味にできる限り、真摯に近づいたという意味です。この映画は、その時起こったことに、異議を唱えるわけでも判断を下すわけでもなく、事実を劇的に膨らませているわけでもありません。オードレイ・ディヴァンには、1964年のあの3ヶ月間に私に起きた残酷な現実のすべてを、臆せず見せる勇気がありました。また、「23歳の私自身」でもあるアンヌを演じるのは、アナマリア・ヴァルトロメイ以外には考えられません。当時のことを覚えている限りでは、彼女はとてつもなく忠実かつ正確に演じています。

    20年前、私は本の最後に、1964年のあの3ヶ月間に私に起きたことは、私の身体があの時代と当時のモラルを「総合的に経験」した結果だと書きました。中絶が禁止されていたあの時代から、新しい法律の制定へ。私が描いた真実を、オードレイ・ディヴァン監督は、映画の中で余すことなく伝えてくれました。

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