人口減少(荒川和久)

心配ご無用です。大丈夫。人口は減りますが、それは適正化に向かっているということです。

今後日本は多死ステージへと移行します。2025年から約50年連続で、年間150万人以上が亡くなっていくと推計されています。これは、太平洋戦争時の年間死亡数に匹敵します。戦争もしていないのに、戦争中と同等の人が死ぬ国になるのです。しかも、2039年以降は全死亡者の85%が75歳以上で占められることになります。

2 thoughts on “人口減少(荒川和久)

  1. shinichi Post author

    人口減少は適正化現象。地球に77億人もいる方が異常事態

    by 荒川和久

    https://comemo.nikkei.com/n/n001dbf87733e

    日本の人口は2100年には今の半分の6000万人になります。

    なぜなら、日本の平均寿命が延びているからです。平均寿命が延びると必ず人口は減少します。そんなバタフライエフェクト的なお話を書いてます。

    バタフライエフェクトとは「風が吹けば桶屋が儲かる」的なことを指します。

    それと、今後は日本だけじゃなく全世界的に人口は減少していきます。それは不可避です。1950年から2100年までの未来予測について、わかりやすくグラフで可視化しました。

    毎度ヤフコメは酷いクソコメントが多いのですが、今回はおとなしめです。むしろお褒め頂いたりして、慣れてないので恐縮します。

    久々にまともな記事を見た
    日本の問題を騒ぎ立てる記事は多いが、たいてい世界の潮流は無視(もしくは知らない)で騒ぐ記事ばかりだから。人口が増加すれば地球の食料が足りなくなると騒ぐし、減少すれば将来日本の人口はゼロになると騒ぐ。
    極論は面白いが、愚劣な煽動に過ぎない。

    はい。その通りです。

    特に、少子化や高齢化、人口減少に関する事象の記事は「このままでは国が滅ぶ」的に恐怖訴求記事が多いんですが、本当に閉口します。そんなことくらいで国は滅びません!

    むしろ現在の地球に77億人もいるって自体が異常事態だと理解した方がいいです。

    悲観や達観の前に客観的事実を冷静に把握する事が大切です。地球の適正人口は考えても変数多すぎて答え出ませんが増え続ける事がいいはずはない。人口減少と高齢化は世界でも同時進行するだろうから日本はそのモデルになる。AI等技術革新による労働生産性向上とそれに伴う人口分散が全体最適の鍵だと思います。

    おっしゃる通りです。事実、僕のところにも最近は英語圏の記者が取材に多く来るようになりました。少子化・高齢化・人口減少のモデル国として見られているということなんです。

    また、その一方で、相変わらずおバカなコメントも健在。

    よくこんな妄想記事で食えますね。世界人口は増え続けますよ。アフリカやインド、アジアが爆発的に増えてるんですから。高齢化と少子化は、全く別問題です。日本はそれが同時進行だから、ヤバイんでしょ。

    増え続けません!

    確かに、2054年までは世界人口は増え続けるでしょう。しかし、そこから以降は減り始めます。インドは2045年から減少するし、中国も間もなく2025年から減少基調になります。インド・中国という世界ワンツーの人口を擁するアジアは、現在の46億人から30億人へと大幅に減少します。

    世界大陸別に見れば、アフリカだけが唯一2100年までは人口増加しますが、2150年にはこれも減少します。経済成長と温暖化の影響によっては、もっと早く減少しはじめるでしょう。

    これは妄想でもなんでもなく、国連の正式な推計によるものです。文句あるなら国連にどうぞ。

    後半部分の指摘についても間違っています!

    高齢化と少子化は別問題ではありません。高齢化することと少子化はつながっています。平均寿命が延びれば少子化するって書いたでしょ?少子化も高齢化もつながっているんです。ちゃんと説明しているのに何も読んでないのか、はたまた、読んでも理解力がないのか。残念ですわ。

    そんな中、こんなコメントがありました。

    いずれ静止人口に落ち着くと書いてあるが、そのメカニズムが語られていない。どんな原因で出生率が2以上になるのだろうか・・・

    人口が増えも減りもしない静止人口とは、理論上は出生率2.07以上と言われています。現在日本の合計特殊出生率は1.4ですから全然足りません。しかし、この出生率が下がった最大の要因は未婚化です。この計算の分母には未婚女性も含まれます。未婚女性人口が増えれば出生率はさがってしまいます。結婚した女性だけに限れば、今でも出生率は2に近いのです。

    今後、女性の生涯未婚率は2040年頃20%を頂点に下がり始めるでしょう。以降は未婚化も自然と解消されていきます。生涯未婚で終わる人たちが続々天寿を全うしていけばいくほど、あとに残るのは、子を残す意思の強い遺伝子を持つ人だけになります。なので、未婚人口が減れば減るほど、率としての出生率は限りなく2に近づきます。

    現在の未婚人口構成者たちが死に絶える2100年以降、日本の人口は6000万人になりますが、結婚率もあがり、同時に出生率もあがることでしょう。

    そういうふうにできています。よほどのヤバい病気や大天災などがなければ。

    心配ご無用です。大丈夫。人口は減りますが、それは適正化に向かっているということです。

    Reply
  2. shinichi Post author

    日本だけでない「世界的な人口減少」は不可避だ

    「人口・出生率・死亡率」の深い関係を分析

    by 荒川和久

    https://toyokeizai.net/articles/-/304861

    日本の人口は、2100年には今の人口の半分以下の6000万人を割りこみます。正確に言えば、5972万人にまで下がると推計されています。これは、1925(大正14)年の人口5974万人とほぼ同等に戻るということです[国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の2019年将来人口推計による]。すでに日本の人口は2011年以降8年連続の減少中でもあります。

    こうした「人口減少の危機」については、メディアでもたびたび取り上げられ、そのたびに「子どもを産め」という政治家の失言がデジャヴのように繰り返されます。「少子化対策、何とかせねば」という声も湧き起こりますが、残念ながら、今さら出生率が多少改善したところで、この大きな流れは止まらないでしょう。

    「平均寿命」と出生率の強い相関関係
    この現象は、日本だけではありません。全世界的に少子化が進みます。少子化対策について、よく「フランスを見習え」という声があがりますが、そのフランスでさえ、2018年の合計特殊出生率は1.87であり、2014年の2.00以降4年連続で減少しています(フランスの国立統計経済研究所の人口統計・暫定値による)。

    アメリカも2010年に2を切ってから、減少し続け、2017年実績は1.77でした。韓国に至ってはもっと深刻で、2018年はついに1を切り、0.98になってしまっています。

    これは、決して世界中のお母さんたちの気合が足りないからではありません。出生率が下がるのは仕方がないのです。実は、平均寿命が延びれば出生率は必ず減ります。

    一見、何の脈絡もないように思えますが、日本での女性の平均寿命と人口千対出生率との相関を見れば一目瞭然です。相関係数が▲0.98673という、ほぼ最大値の1に等しい強い負の相関が見られます。

    もちろんこれは強い相関関係があるだけであってそこに因果はありません。「傘が売れる」ことと「長雨が続く」こととは相関関係にありますが、「傘が売れると雨が降る」とは言えないのと同じです。とはいえ、この相関は日本に限らず、全世界的にそうです。

    縄文時代は1人で8人ほどの子を産んだ

    歴史人口学の第一人者でもある鬼頭宏先生との対談で伺った話によれば、縄文時代の女性は1人で8人ほどの子どもを産んでいたそうです。ですが、縄文時代の女性の0歳時平均寿命は、わずか15歳に満たなかったといわれています。

    不思議ですね。妊娠期間は縄文時代も今も変わらないのに、15年の寿命で8人の子はとても産めません。平均寿命という指標は、その年齢で平均的に死亡していることを表すものではないからです。平均寿命は乳児死亡率が高ければ高いほどそれだけ下がります。

    縄文時代は、8人の子を生んだとしても、乳児時点でその多くは亡くなってしまいました。15歳まで生きぬくことができた子どもというのは約半数程度といわれています。平均寿命は、早逝してしまった子どもたちも合算平均するので、15歳になるのです。

    よって、縄文時代の平均寿命が15歳だったからといって、必ずしも全員が15歳で死んだわけではありません。ちなみに、縄文時代の15歳時点での平均余命は約16年です。15歳まで生き延びた人は、大体31歳まで生きたということになります。

    逆に言えば、現代の平均寿命が長くなったのは、乳児死亡率が低くなったからです。つまり、平均寿命が短いということは乳児死亡率が高いことであり、乳児死亡率が高い時は出生率も高いのです。たくさんの子が死ぬ(乳児死亡率が高い)時代は、それだけたくさん産むようになっていたわけです。

    そして医療の発達などで乳児が死ななくなれば、そもそも女性は出産をしなくなります。事実、乳児死亡率と出生率との相関係数は0.9341と高いものになっています。

    日本の出生率と死亡率の推移

    繰り返しますが、これは、全世界的に共通する動きです。人口学的には、人類は「多産多死→多産少死→少産少死→少産多死」というサイクルで流れてきています。

    1899年からの日本の出生率と死亡率の推移をこの4つのステージにあてはめると非常によくわかります。戦前までは出生率30以上、死亡率16以上の「多産多死」時代でした。戦前の死亡が多かったのは、戦争や関東大震災など災害によるものだと思いがちですが、死亡の最大の原因は病気です。そして、その病気の最大の犠牲者が乳児たちでした。

    1918年は出生千対の乳児死亡率が189もありましたが、これはその時期世界的に猛威をふるったスペイン風邪の影響です。乳児死亡率が初めて100を切ったのは1940年のことです。「七つまでは神のうち」という言葉が言われていたように、7歳まではいつ死んでもおかしくない状態でした。七五三をお祝いするのはそんな意味合いもありました。

    戦後は、生活環境の改善と医療技術の発展により、乳児死亡率はすさまじい勢いで減少していきます。戦後2度のベビーブームの影響もあって、日本は「多産少死」時代へ入りました。戦後の1951年から2011年まで、日本の死亡率はわずか10.0未満の状態が60年間も続きました。

    そして、1974年の「第1回日本人口会議」において出された「子どもは2人まで」という宣言以降、今に続く少子化が始まります(『日本で「子どもは2人まで」宣言が出ていた衝撃』の記事参照)。現在、日本は「少産少死」のステージにありますが、やがて世界に先駆けて「少産多死」国家となるでしょう。

    日本が世界に冠たる超高齢国家であることはご存じのことと思います。最新の2019年9月実績では、全人口に占める65歳以上の高齢者人口は3588万人、総人口比28.4%と過去最高を記録し、当然世界一の高齢化率です。

    世界各国との比較は?

    前ページのバブル図には、2015年時点の世界各国の位置もあわせてプロットしています。現代は第一段階というべき「多産多死」ステージの国はありません。第二段階の「多産少死」ステージにあるのはアフリカ諸国など、欧米諸国はほぼ第三段階の「少産少死」ステージに集中しています。

    中国・インドなど人口の多いアジア諸国も同じく「少産少死」ステージにあります。図表のバブル(円グラフ)の大きさは国の総人口を表しています。大きな2つのバブルは中国とインドです。

    社人研による2065年推計の位置も表示していますが、今後日本は多死ステージへと移行します。2025年から約50年連続で、年間150万人以上が亡くなっていくと推計されています。

    これは、太平洋戦争時の年間死亡数に匹敵します。戦争もしていないのに、戦争中と同等の人が死ぬ国になるのです。しかも、2039年以降は全死亡者の85%が75歳以上で占められることになります。

    これは、1951年から2011年まで、死亡率わずか10.0未満の状態が60年間も続いた希有な状態の反動です。戦後の日本の人口増加というものは、ベビーブームだけではなく、この「少死」現象によるものですし、今後の日本の人口減少もまたこの「多死」によるものです。

    少子化も人口減少もマクロ視点でみれば、人口構造上の問題であることがわかると思います。そして、この日本が歩むのと同じ道を今後世界各国も進むことになります。

    2015年時点で世界の人口は約74億人です。2100年には、国連のMEDIUM推計で109億人になると言われていますが、これはかなり楽観的な見通しです。LOW推計での73億人が妥当だと個人的には思います。アフリカ以外、すべての国の人口は減少するでしょう。

    1950年、2015年、2100年推計(国連WPPのLOW推計より)それぞれにおける各国の位置をプロットしたものがこちらです。1950年(青)→2015年(黄)→2100年(赤)というように、世界の国々が一塊となって「少産多死」のステージに移行する様子が見て取れることと思います。

    多産多死のステージに戻る?

    ちなみに、「少産多死」以降はまた「多産多死」のステージに戻るわけではありません。かといって、このまま「少産多死」が続いて、地球上から人間が消滅することもないでしょう。「少産多死」ステージで、ある程度の規模の人口の入れ替えが完了した時点で、人口ピラミッドも補正され、やがて人口が増えもせず減りもしないという静止人口に落ち着くことになると思われます。

    今後、日本を含む国単位で婚姻数や出生率が多少改善されたところで、この大きな人口構造変化の流れを止められるものではありません。少なくとも現在は世界的に「人口減少不可避のステージ」に突入しつつあるという現実を直視し、そういう人口転換メカニズムを前提とした適応戦略を考えないといけないフェーズに、私たちは来ているのではないでしょうか。

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