三級職試験(四方修)

どこの国でもそうですが、日本も昔から(明治時代から)「高等文官試験」というキャリアとノンキャリアを区別した試験がありました。敗戦後、「高等文官試験」という昔のキャリアの試験はなくなりましたが、すぐに国家公務員の上級職試験として昭和二十三年から復活しました。しかし、GHQから「警察庁だけはまかりならん!」ということで、警察庁は上級職(キャリア)採用試験をやることを禁じられました。
しかし、われわれの先輩はなかなかしたたかで、こっそりと上級職試験を敢行したのです。「上級職」という名前を付けると睨(にら)まれるので、「三級職」という、いかにも下のほうの役職であると見せかけて、上級職試験をやりました。それが占領軍に見つかってしまい「けしからん」ということになり、警察庁の幹部がGHQに呼ばれ「止めろ」と言われました。しかし、再び昭和二十四年に、今度はさらにカモフラージュして、(キャリア合格者は幹部候補生ということで)最初から「警部補」という身分になるのではなく、一般と同じように「巡査から始める」という形にして上級職試験をやりました。それがまた見つかりまして「もう二度と許さん」ということで、二十五年のサンフランシスコ講和条約が結ばれる(日本の独立が回復される)までは警察庁では上級職試験をやれなかったということがございました。

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