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Yuko Yamada
五島昇(週刊朝日 1963年)
YOH ZERO
The Gray Line (Kristine Potter)
Jérémie Villet
王暁清
World Cup
Joe Rosenthal
Robert Doisneau
Kevin Carter
ふたつの世界
色にはふたつの世界がある
ふたつの世界は交わっているのか
交わっていないのか
ひとつの世界はカラフルで
グルグルと回っている
もう一つの世界は無彩色で
どちらに行っても行き止まる
カラフルな世界は
見えない世界からやって来る
静かに紅から入って来て
紅赤になり 赤になる
茶 橙 黄 を眺め
黄緑 緑 青緑 の脇をすり抜け
青 青紫 紫 を通り
紅紫 から見えない世界に戻ってゆく
行った先には紅が感じられ
見えない世界を通って
グルグルと回っている
それは永遠の愛のように
はじめがなく 終わりがない
暖かく 明るく 優しい
無彩色の世界は
行き場がない
こちらの先には白があって
あちらの先には黒があって
その先に行くのを遮っている
白のそばには
胡粉とか鉛白とか白土とかがあって
白を囲んでその先に行くのを防いでいる
乳白色に頼み込んでも
その先は見えてこない
黒の少し先には漆黒があって
黒の少し手前には墨色があって
その先があるのではないかと探ってみても
その先にはなにもなく
ただ闇に吸い込まれるだけ
それはせつない恋のように
迷い込んだら 出口がない
やるせなく 心がやりきれない
気をつけて見ると
無彩色の世界にも
色が紛れ込んでいる
練色には 黄色みを感じ
灰桜には 赤みを感じ
白の冷たさが和らぐ
黒橡色は 青みを帯び
憲房色は 黄色みを帯び 赤みも帯び
黒だというのに温かさがある
でも
どんなに色が紛れ込んだとしても
無彩色の世界から 脱出することはできない
そう
無彩色の世界に出口はない
カラフルな世界が
こっちに来いと
微笑みかける
無彩色の世界も
こっちのほうがいいと
誘いかける
グルグルと回る円のなかに閉じ込められるのと
行ったり来たり直の線のなかに閉じ込められるのと
どちらがいいのか
永遠の愛も せつない恋も
自由よりはずっといいと
二つの世界が
私たちを誘う
入り込んだら出てはこれない
二つの世界に
行かないか
一緒に
行かないかと
かすれた声が繰り返す
W. Robert Moore
Jacques Witt
Jekesai Njikizana
Jan Saenredam
まえのかつみ
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H. Raab
安井純平, 酢谷駿平
黒薔薇
トルコのユーフラテス川流域のみに生息する、非常に珍しい天然の黒薔薇というのをご存じでしょうか。あなたも一目見ればその神秘的な美しさと、高級ベルベットのような滑らかな質感の虜になるに違いありません。
この漆黒の黒薔薇を咲かせるには、この地域特有の土壌と気候という特別な条件が必要なので、実際にはめったにお目にかかれない、大変希少性が高いものなのです。
このトルコの天然の黒薔薇を手に入れることは難しいですが、日本でも一般的に黒薔薇と呼ばれている、主にバレンタインデー用に使われている「ブラックバカラ」を手に入れることが可能です。
しかし、実は薔薇には黒という色素自体がないため、「ブラックバカラ」も黒ではなく、実際は限りなく黒に近い濃赤色のバラなのです。
二つの裏腹な意味を含んでいる黒薔薇の花言葉のように、情熱的な二つの色が同居した「ブラックバカラ」は、それにふさわしい花なのかもしれませんね。