りら

予防接種をしても免疫が形成されない。一生持続すると考えられていた免疫が、何年かたつと消滅してしまう。世間に予防接種が行き届いた結果、病気になる人が激減し、人間はその病原体に触れる機会を持てない。すると体内の抗体は機能しないまま、いずれ消滅してしまう。そして予防接種をしていたからと安心していたら、思いがけず病気になってしまうということがある。その他、諸々、公衆衛生が発達して結果、人間は外敵にもろくなってしまった。病気が猛威を振るった時代、予防接種は人類を救う救世主のように感じられたと思う。それが結果として、人間を弱くしてしまったというのは、なんとも皮肉なものだ。
他にも同じような例はいろいろある。例えばフロン。これを作り出したときは、夢の工業製品だったことだろう。誰もオゾン層破壊という結果が待ち受けているとは予想だにしなかった。
地球温暖化もそうだろう。化石燃料を自由自在に使いこなせるようになって人間の生活は飛躍的に進歩した。皆、自分たちが幸せだと感じた。でもその結果、二酸化炭素が増加し地球の温度が上がり、今や、気象異常が頻発している。
人類の発展や皆の幸福のためによかれと思って成し遂げた技術の開発が、予想もしない結果を引き起こしたからといって、誰も責めることはできないと思う。これはもう連帯責任で、人類みな等しく、負わなければならないことだろうと思う。

2 thoughts on “りら

  1. shinichi Post author

    人間の歴史は、困難の克服だと思う。その過程で技術が開発され、社会は進歩してきたのだと思う。それは偉大な歴史であり、先人の苦難には心から敬意を抱く。
    ところが神様は意地悪というべきか、人間に更なる試練を与えようということなのか、困難を克服するための努力が、別の問題を引き起こすということがおこっているようだ。

    ある方から伺った話だが、予防接種をしても免疫が形成されないらしい。つまり一生持続すると考えられていた免疫が、何年かたつと消滅してしまうらしい。世間に予防接種が行き届いた結果、病気になる人が激減し、人間はその病原体に触れる機会を持てない。すると体内の抗体は機能しないまま、いずれ消滅してしまう。そして予防接種をしていたからと安心していたら、思いがけず病気になってしまうということがある。その他、諸々、公衆衛生が発達して結果、人間は外敵にもろくなってしまったらしい。
    病気が猛威を振るった時代、予防接種は人類を救う救世主のように感じられたと思う。それが結果として、人間を弱くしてしまったというのは、なんとも皮肉なものだ。

    他にも同じような例はいろいろある。例えばフロン。これを作り出したときは、夢の工業製品だったことだろう。誰もオゾン層破壊という結果が待ち受けているとは予想だにしなかった。
    地球温暖化もそうだろう。化石燃料を自由自在に使いこなせるようになって人間の生活は飛躍的に進歩した。皆、自分たちが幸せだと感じた。でもその結果、二酸化炭素が増加し地球の温度が上がり、今や、気象異常が頻発している。

    人類の発展や皆の幸福のためによかれと思って成し遂げた技術の開発が、予想もしない結果を引き起こしたからといって、誰も責めることはできないと思う。これはもう連帯責任で、人類みな等しく、負わなければならないことだろうと思う。

    そんなことを考えつつ、先日から読んでいた本「眠れない一族」。狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病等の所謂プリオン病がなぜ引き起こされたかを語る本で、なかなか面白かった。以前、狂牛病の原因が肉骨粉の混じった飼料だというニュースを聞いた際に、直感的に「共食いの罰」という言葉は頭に浮かんだ。罰かどうかはともかくとして、同種の動物の病気の原因(異常プリオン)が飼料を介して次の動物へと伝えられていく。羊や牛を効率よく育て生産量を上げようとした生産者の、良かれと思っての行動が(多くの人に栄養価の高いものを食べさせようという意図と、もちろん利益追求もあっただろう)、思わぬ結果をもたらしたわけだ。
    成長ホルモン投与の治療を受けたイギリスの子供たちのなかで、クロイツフェルト・ヤコブ病を発症した子供たちがいた。ホルモンを採集した人体がその病気の原因となるプリオンを保持していたのである。これはまさに思いがけない結果、計り知れない結果だろう。

    しかし、世のため人のため、良かれと思ってのことが思いがけない結果を招いたというのは、まだ仕方なかった、不幸な出来事だと思うこともできる。しかし、次の事例は人間のエゴ、驕りとしか思えない。今、米国では鹿にプリオン病は蔓延しているらしい。狩猟愛好家が求める立派な角のある鹿を生み出すために、高蛋白質のエサを与え、愛好家の要望に求めに応じ、あちこちの森に放った。そのエサに病原体が含まれていたとしたら、というような状況らしい。これは、知らなかったのだといって済まされるようなことではないだろう。

    計り知れないこととはいえ、引き起こした結果は、また人間は何とか克服していかなければならないし、それをするのが人類の英知だとも思う。

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