Marvin Minsky

普通の知能の人々がたくさん集まって協力すれば、一個人の知能よりもより高い知能を示す行動をする、というようなことが期待をこめてよく言われるけれども、問題は、もちろんそういう場合もあるでしょうが、そうでない場合もあるということです。
集合知能ということを言う人たちは、どんな場合にそれが発現されるのかについて説明しないんですね。集合知能は個人の知能を常に上回る、というようなあらっぽい言い方をしたがる。しかし、アメリカ人がこぞってブッシュを大統領に選んだときは、もちろん集団が大間違いをしたわけです。
実際歴史を振り返ってみれば、多くの人々が大賛成した場合のほとんどは、大惨事になるか、文化が崩壊するか、大衆をうまく説得するヒットラーのような人物が現れる、といった悲劇に結びついています。ドイツ国家は、突然にして偉大なる科学立国から犯罪国家に転化し、全ての人々が一致団結するようになって、反対する者は一人もいなくなってしまった。ですから私自身は、集団の中に一般的な叡智があるというふうには信じていません。
科学の歴史を振り返って見ると、叡智というものは、アイザック・ニュートンやジョン・フォン・ノイマン、アラン・チューリング、アルバート・アインシュタインなどの「個人知能」によってもたらされているのがわかります。わずか100人の個人が、知的革命によって西欧の科学というものを形作ってきたわけで、大衆の「集合知能」の方は、逆に科学を何百年も停滞させてきたのです。

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1 Response to Marvin Minsky

  1. shinichi says:

    知の逆転

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