アダム・スミスが『国富論』の中で言っていることですが、そもそも文明の大きな進歩というものは「個人」が生み出すもので、「政府」からはけっして生まれてこない。ですから集団の一員ということではなく、独立した「個人」というものが尊重されなければならない。
たしかにそういうこともあります。でも、科学者たちがお互いに競争し合っているほうが、協調し合っているよりもいいように思う。何人も一緒に働いていると、どの方法がベストであるか、みなの同意を得なければならない。総意というのは往々にして間違っているものです。あくまで「個人」が際立つ必要がある。科学を促進させるということは、とりもなおさず「個人」を尊重することです。
。。。でも、なかなか研究所や会社、機関などのインスティチューションを潰したりはしないんですね。優れたリーダーだったら、過去を止めることができる。でも現在われわれはどうやって過去を止めたらいいかわからないから、将来に向かって進んでいくための唯一の方法は、大きくすることだと思ってしまう。インスティチューションはある程度以上の大きさになると、「個人」は死んでしまいます。大きくなりすぎると、そこで働いている若い人たちのことを全く知らなくなってしまう。
本来、人はみなそれぞれ異なっているのに、同じだとみなさなければいけなくなってきている。同時に、あるもののほうが別のものよりもいいという言い方は避けて通るようになってきていもいる。だから、どの花も全て同じように咲くんだという。ごまかしです。
サイエンスのセミナーでも、最近は聴衆が途中で立ち上がって、「これはひどい仕事だ!」などと言わないようになってきた。誰かの気を悪くさせるから、と。MITは素晴らしくいい大学だから、そこの助教授たちはおしなべて優秀なので、みな昇進も値すると言うべきだと。それは真実じゃない。
社会が丁寧になりすぎていると思います。
多くの人は、非常に忙しく立ち働いているけれども、深く考えずに、単にそれができるからそうしているだけのことなんですね。
知の逆転
interviewed and edited by 吉成真由美
ジャレド・ダイアモンド
ノーム・チョムスキー
オリバー・サックス
マービン・ミンスキー
トム・レイトン
ジェームズ・ワトソン
Rosalind Franklin
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=13149
James Watson
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=13152
(sk) 私は、James Watson よりも Rosalind Franklin のほうにシンパシーを感じてしまうので、吉成真由美さんがどんなに素晴らしいインタビューをしても、そのおかげでジェームズ・ワトソンが偉そうなことを口にしても、あまり感動できない。
Rosalind Franklin のほうが、ずっとずっとクールだし、かっこいい。。。と思う。