前村大成

Kuwaベトレヘムの園の雑木林脇の細道を歩いていたとき、林の下草を刈っていた人に「そこに、沢山の桑の実が落ちていて、小鳥が食べに来ていたよ」と声をかけられました。見てみると無数の干からびた黒い桑の実が落ちていました。学童時代に同じ村の友達数人と、通学路からそれた畑道に入って桑の実を口にしながら道草をして家に帰った日々や、桑畑で桑の葉を採取していた情景を思い出しながら、わずかに実を残している梢を見上げて「大きい桑の木ですね」と感歎していると、「あっちにはもっと大きな桑が2本あるよ」と教えてくれました。郷里の桑畑の桑の木は、大人の手が届くぐらいの高さだったと記憶していますが、この桑の木は道を隔てた隣の大きな病院の4階以上に達する高さで、幹は根元近くで2つに分岐していました。当院開設期の写真を先日改めて見たところでしたので、この桑の木も当時からベトレヘムの園全体を広く眺めてきたのかと思うと、写っていた人の姿や当時の建造物が、途端に生気あふれて蘇ってきたように思いました。
桑の木は落葉樹ですが、温暖地では常緑樹のようにもなります。葉は切り葉と丸葉があり、カイコの飼料として養蚕に利用されるのが桑の最も重要な用途ですが、桑茶にも利用されています。栄西が『喫茶養生記』でお茶の効能、効用を書いているそうです。果実は多汁で甘く、マルベリージャムになる他、ブドウと同様に発酵させて桑実酒が作られます。
南ヨーロッパでは上手に桑を剪定して街路樹や並木にしたりしているようです。八王子には桑の並木があるそうですので、是非一度訪れてみたいと思っています。

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2 Responses to 前村大成

  1. shinichi says:

    桑の木

    by 前村大成

    ベトレヘムの風 No. 58

    ベトレヘムの園病院

    http://www.betohp.com/bet_date/bet_kaze/kaze58.pdf

    当院創立80周年を、創設者ヨゼフ・フロジャク神父、そして神父と共に歩かれた多くの先人の歩みを辿り、その理念に相応しい病院運営を行っているか、職員と共に検証する機会と考えております。幸い、一歩一歩より良き高みを仰ぎながら登っていることを、入院・外来の患者様のご様子やご家族との会で、そして日々の職員の働きの中に感じられますことに感謝しています。

    ここベトレヘムの園は、当院、小児福祉施設、高齢者施設、児童施設、小学から高校までの教育施設が集積された園であります。各施設の園庭や残されている雑木林には、十余種の大木が聳えています。去る6月初め、ベトレヘムの園の雑木林脇の細道を歩いていたとき、林の下草を刈っていた人に「そこに、沢山の桑の実が落ちていて、小鳥が食べに来ていたよ」と声をかけられました。見てみると無数の干からびた黒い桑の実が落ちていました。学童時代に同じ村の友達数人と、通学路からそれた畑道に入って桑の実を口にしながら道草をして家に帰った日々や、桑畑で桑の葉を採取していた情景を思い出しながら、わずかに実を残している梢を見上げて(写真1、2)「大きい桑の木ですね」(写真3)と感歎していると、「あっちにはもっと大きな桑が2 本あるよ」と教えてくれました。郷里の桑畑の桑の木は、大人の手が届くぐらいの高さだったと記憶していますが、この桑の木は道を隔てた隣の大きな病院の4階以上に達する高さで、幹は根元近くで2つに分岐していました。幹を計測したところ、径が50cm以上の巨木でした(写真4)。80周年の準備に当たり、当院開設期の写真を先日改めて見たところでしたので、この桑の木も当時からベトレヘムの園全体を広く眺めてきたのかと思うと、写っていた人の姿や当時の建造物が、途端に生気あふれて蘇ってきたように思いました。

    さて、桑の木は落葉樹ですが、温暖地では常緑樹のようにもなります。葉は切り葉と丸葉があり、カイコの飼料として養蚕に利用されるのが桑の最も重要な用途ですが、桑茶にも利用されています。栄西が『喫茶養生記』でお茶の効能、効用を書いているそうです。果実は多汁で甘く、マルベリージャム(色は濃い紫)になる他、ブドウと同様に発酵させて桑実酒が作られます。

    ヨーロッパでは微粒子病が蔓延し、蚕がほぼ全滅してしまったこともあり、明治維新後、日本は蚕の卵を最大の輸出産品としていました。この微粒子病の研究を行い、微粒子病除法を確立したのは、あのワクチン療法で有名な微生物学者で免疫学の開拓者パスツールでした。

    明治時代以後、養蚕業・絹糸は外貨獲得産業として重視され、世界恐慌等で揺れ動きながらも、第二次世界大戦前は貿易収入収支輸出額50%近くを占めていました。しかし、戦後は化学繊維が普及し、絹織物の消費が激減し、養蚕・製糸業は衰退が続いています。

    フロジャク神父も桑の木を見て、フランスで当時は盛んであったであろう養桑や桑畑を懐かしがられたり、桑の実のジャム(マルベリージャム)を思い出されたりしたのではないでしょうか。

    南ヨーロッパでは上手に桑を剪定して街路樹や並木にしたりしているようです。八王子には桑の並木があるそうですので、是非一度訪れてみたいと思っています。

  2. Garfield says:

    桑の実のジャムって、美味しいですよね。マルベリージャムとは、初めて知りました。毎年5~6月に、桑の実と野イチゴを収穫してジャムを作るのが趣味なのですが、今年は出来なくて残念。

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