しづかにてらせる
月のひかりの
などか絶間なく
ものおもはする
さやけきそのかげ
こゑはなくとも
みるひとの胸に
忍び入るなり
なさけは説とくとも
なさけをしらぬ
うきよのほかにも
朽くちゆくわがみ
あかさぬおもひと
この月かげと
いづれか声なき
いづれかなしき
しづかにてらせる
月のひかりの
などか絶間なく
ものおもはする
さやけきそのかげ
こゑはなくとも
みるひとの胸に
忍び入るなり
なさけは説とくとも
なさけをしらぬ
うきよのほかにも
朽くちゆくわがみ
あかさぬおもひと
この月かげと
いづれか声なき
いづれかなしき
小詩二首
一
ゆふぐれしづかに
ゆめみんとて
よのわづらひより
しばしのがる
きみよりほかには
しるものなき
花かげにゆきて
こひを泣きぬ
すぎこしゆめぢを
おもひみるに
こひこそつみなれ
つみこそこひ
いのりもつとめも
このつみゆゑ
たのしきそのへと
われはゆかじ
なつかしき君と
てをたづさへ
くらき冥府よみまでも
かけりゆかん
二
しづかにてらせる
月のひかりの
などか絶間なく
ものおもはする
さやけきそのかげ
こゑはなくとも
みるひとの胸に
忍び入るなり
なさけは説とくとも
なさけをしらぬ
うきよのほかにも
朽くちゆくわがみ
あかさぬおもひと
この月かげと
いづれか声なき
いづれかなしき
藤村は、詩も小説も大好きです。
でも、この詩は知りませんでした。