和泉式部

Izumishikibu夢よりもはかなき世の中を、嘆きわびつつ明かし暮すほどに、四月十余日にもなりぬれば、木の下暗がりもてゆく。築地の上の草あをやかなるも、人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに、近き透垣のもとに人のけはひすれば、誰ならむと思ふほどに、さし出でたるを見れば、故宮にさぶらひし小舎人童なりけり。

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