小池真理子 2 Replies 春恵が問うようにして見つめると、志摩子は「あのう」と言って、おずおずと可憐な視線を彼女に投げた。「前から言おう言おうと思ってて、ついうっかり、忘れていたことがあるんですが」 「お皿でも割ったの?」春恵は微笑んだ。「他の人ならいざ知らず、あなたが食器を割ったとしたら珍しいことね。雪が降るかもしれないわよ」 違います、と志摩子は言い、おっとりと微笑み返した。「お玄関に飾ってある、あの白黒写真のことなんです」 心臓のあたりに軽い緊張が走った。動揺を隠すのに苦労した。
shinichi Post author06/05/2014 at 4:40 am (sk) 若いときに彼と撮った写真。もういない彼。思い出のなかにしかない日々。寂しさ。愛おしさ。 切ない。 ____ ひるに見る夢を幻というのなら、よるに見る幻は夢というのだろうか。 Reply ↓
夢のかたみ
in ひるの幻 よるの夢
by 小池真理子
(sk)
若いときに彼と撮った写真。もういない彼。思い出のなかにしかない日々。寂しさ。愛おしさ。
切ない。
____
ひるに見る夢を幻というのなら、よるに見る幻は夢というのだろうか。