わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地べたをはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんのうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。
わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地べたをはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんのうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。
わたしと小鳥とすずと
by 金子みすず
(sk)
モンテーニュのいう la diversité とか le plaisir de la variété というようなものと、金子みすずの「みんなちがって、みんないい」は、不思議なくらいその感じが似ている。
モンテーニュは考えに考えてそういう価値に辿り着き、金子みすずは体験を通して直感のようなものでそこに辿り着く。本を読んでも読まなくても、酷い体験をしてもしなくても、同じところに辿り着ける。
村岡花子の「想像の翼」についても同じことを感じたが、金子美鈴の詩に接してみて、直感を文章にすることの素晴らしさを感じた。