丹羽鼎三

従来、庭園を説くもの、ほとんどすべてが、庭園の用途・効用をあげ、もって庭園の解説となすにすぎない。しかしながら、かような説明は庭園の本質を解明したとは言えない。たとえば、刀は人を斬るものであるという説明では刀の用途・効用は示しはするが、これによって刀がどんなものであるか、その本質を知ることはできない。
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想像の世界は、広く自由であるから、観者が、勝手に連想し想像するのが、面白いのである。所謂、噛みしめれば噛みしめる程味があると、云うことになるわけである。現実に近くては、其の眼前の現実に捉ほれてしまって、自由に想像を逞ふすることが、出来なくなる。従ってまた、写意の庭園は、道具建を余り多く使っていない方が、面白い。優れた写意の庭は、決してごてごてと庭石や庭樹を、列べ立てていない。其の極端なるものに、俗称「虎の子渡」と伝えらるる、京都龍安寺方丈の庭園がある。

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