宮崎駿氏が「『淵の森』で『トトロの森』を構想したので、同氏個人のゆかりの地、隣接地こみで保存したい」という考えなら、動機がごく個人的な事情なのは明らかだ。東村山市に話をもってくるのではなく、宮崎氏個人がまず努力をすべきではなかろうか。
氏が、ポンと６千万円（全額）出すのでないなら、東村山市に協力を要請するとしても、「ナショナルトラスト」を呼びかけ、その完成までの先行取得用の一時立替資金の貸与、または、取得後の公有地化のための登記手続きとその費用の協力要請が、援助の限度だ。
かつて氏が３億円をだしたときも、「淵の森」取得には、所沢・東村山両市は税金を1億円も出している。これも疑問は残る。なぜ、自分で話を持ち出しながら、平気で市民の税金をあてにしたのか。
市が今回出す取得費は３千万か４千万円としても、市民が要望している予算はほかにも山積み状態だ。東村山市はそんなに財政にゆとりがあるのか？
最も重要なことは、１４万余の市民には、この土地を取得することについて、何も意思確認がなされていないということだ。
「淵の森」隣接地問題に異議あり！－市民全体の意見は確認したのか？
市民の意思はどこに？有名人が動けば、何でもとびつくのか
by 矢野ほづみ, 朝木直子
東村山市民新聞
http://www.geocities.jp/higashimurayamasiminsinbun/page060.html
東京）宮崎駿監督が下草刈り 東村山市の「淵の森」
by 鬼頭恒成
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASG1M4SRLG1MUTIL00F.html
東村山市と埼玉県所沢市にまたがる雑木林「淵（ふち）の森」保全運動の会長をつとめる映画監督の宮崎駿さん（７３）が１９日、東村山市内で年１回の下草刈りに参加した。全国各地から集まったボランティア約２２０人とともに作業に精を出した。
「淵の森」は東村山市北東部から隣の埼玉県所沢市にかけて広がる約５７００平方メートルの雑木林。クヌギやコナラなど、かつて日本各地の里山にあった木々を植林し、育てている。
宅地開発計画が持ち上がった１９９６年、宮崎監督をはじめ近くの所沢市内の住民を中心に保全運動が起こった。監督自身からの３億円の寄付や募金運動の結果、同年１１月、東村山市、所沢市が買収して公有地化した。現在は「淵の森緑地」として、監督が会長をつとめるボランティア団体「淵の森の会」がごみ拾いや川そうじなどの手入れを続けている。
淵の森はトトロの森
by 志村建世
http://blog.livedoor.jp/shimuratakeyo/archives/55592746.html
「淵の森」は、東京都東村山市と埼玉県所沢市にまたがる4600平方メートルの緑地です。名作アニメ「となりのトトロ」で知られる宮崎駿監督が、トトロの構想を練ったところと言われ、宅地開発から守るために、宮崎氏らの寄付を基金として1996年に公有地化されました。この運動の母体が、宮崎氏を会長とする「淵の森保全連絡協議会」です。
今年になって、柳瀬川をはさむ対岸の雑木林に、宅地開発の計画が持ち上がりました。淵の森協議会は、この地域の自然環境を残すために、再び公有地化の運動を始め、買い取り資金の寄付を市民に求めました。寄付は順調に集まり、東村山市長への贈呈式が行われるまでになりました。(寄付は今も続いており、2000万円を超えています。)しかしここから開発業者との交渉が難航しました。川沿いの狭い土地だけを公有にして道路とマンションを作る案が提示され、全体の買取りに対しては、適正と予想された予算の２倍以上の金額が要求されたのです。市の対応も動揺したように見えました。
この間の事情を、私は東村山市議の薄井政美氏のブログで見ていました。また新聞でも、経過が何度か報じられていました。そしてこの度、全面公有化で問題は決着したようです。この16日に現地で行われた緊急集会で、宮崎会長が「悪役を作らずに解決できて、よかった」と語ったのが印象深かったと、薄井市議はレポートしています。トトロの森にふさわしい解決のかげには、宮崎駿監督の知名度もさることながら、自然を守りたい無名の人々の「優しい力」の集積があったように思われます。それは未来に一筋の希望を感じさせるものです。
私はこの15日に現地を見てきました。それほど広い場所ではなく、遊具もトイレもなくて一巡する遊歩道があるだけですが、まぎれもなく「武蔵野の自然林」が生き残っています。柳瀬川の水流もみごとなもので、対岸の森を失えば、淵の森の価値が半減することが、よくわかりました。また、手前にある秋津公園も、なかなかのものでした。ちょっと嬉しい休日の散歩でした。