佐藤直子

経済協力開発機構(OECD)が気になるデータを公表した。二〇一二年の加盟国の教育に関する調査で、日本の女性は高学歴なのに三割は働いていない、というものだ。
大学卒業以上では、男性の就業率が92%であるのに対し、女性は69%と低い。OECDは〇八年にも同様の結果をとらえ、「貴重な人材を無駄にしている」と批判していた。
働くのも、働かないのも、選択の問題か? そうは片付けられない。一方で、高等教育を修了した女性の平均給与は、同学歴の男性の半分しかないという結果もある。
「女性の活躍」を看板に掲げる安倍首相は今臨時国会で関連法をつくり、女性の労働力を国の成長の起爆剤にしようと懸命だ。国や自治体、企業の女性管理職を「三割に増やす」などと数値目標の導入も示されはした。しかし、まず語るべきは、就労の男女格差を人権の問題として取り組むこと、ではないか。
女性の多くが非正規の低賃金労働に押し込められている。この現状が解決されない限り、働く女性はそう簡単に増えないと思う。

One thought on “佐藤直子

  1. shinichi Post author

    女性の活躍、人権の視点で

    by 佐藤直子

    東京新聞

    http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014102002000139.html

    東京都議会などで女性議員に対し、結婚や出産をネタにしたやじが出た。同僚として尊重する態度ではない。働きやすい環境づくりとは、人権に対する視点を抜きに語れない。

    女性の「活用」「活躍」、どちらも好きな表現ではないが、この際、どっちでもいい。でも、核心はそらさないで。

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