武蔵トゥリーン

Musashi医師になりたい人の多くはアメリカに留学していたのですが、私の場合は、父が「日本だったら留学してもいいよ」と言ってくれ、17歳で来日しました。もちろん、とにかく必死で勉強しました。最初は日本語を習得するために、かなりハイレベルな語学学校に入学しました。留学生の多くは漢字圏の人々ですが、私は非漢字圏。難しいなあと思ったことも多々あります。しかも目指しているのは医学部。正直、学校の先生からも「医学部以外の道もあるのでは?」と言われたこともあります。でも、あきらめる気持ちは一切ありませんでした。だって、ずっと医師になりたかったんですから。「私にはこれしかない。医師になるために日本に来たんだ」と思うと、どんなにつらいことにも立ち向かえましたね。そして希望通り、医学部に入学できました。医学部の学生になってからも、毎日が充実していました。期待はずれだと思ったこともありません。ドクターとして働くことは、私の変わらない夢。気持ちが揺らぐことなんてありませんでしたね。

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  1. shinichi Post author

    武蔵トゥリーン院長

    むさしアイクリニック上野毛駅前

    ドクターズ・ファイル

    http://doctorsfile.jp/h/14128/df/1/

    碧く輝く地中海、豊かに繁るオリーブの木、降りそそぐ太陽……。そんな美しい国で生まれた武蔵トゥリーン院長。「医師になりたい」という夢を叶えるため来日し、そしてその夢を見事に実現させた。日本人以上に正確で丁寧な日本語を駆使し、ライフワークでもある「斜視・弱視」の診療にも情熱を注いでいる。院内は生まれ故郷のオリーブ色で統一。外国人の患者も多いため、視力の検査機器も国際基準を視野に入れた最新の機器を導入している。エネルギッシュで謙虚。そしてバリアをつくらない率直な人柄。個性がキラキラと輝く、魅力的な院長を訪ねた。(取材日2010年5月31日)

    患者の希望は世界共通。バリアのない、豊かなコミュニケーション

    ―先生が日本に留学し、医師になった経緯をお聞かせください。

    私は地中海沿岸の国で生まれました。太陽がさんさんと降りそそぎ、オリーブ畑が広がり、そして宝石のようにきらめく地中海。そんな美しい国で育ちました。医師になりたいと思ったきっかけは、小学校2年生のサマーキャンプのときです。山登りをしていて、知り合いの子が転んでしまい、とてもひどいケガを負ったのです。傷がざっくりと入り、骨まで見えている状態でした。周りの多くの人は気が動転していたのですが、私は「何とかしなくちゃ!」と思ったんです。たまたまそのキャンプには、当時医学部の学生だった私のいとこが参加していて、そのいとこが目の前で応急処置を施しました。その手際の良さに、子ども心に「わあ、かっこいいなあ」と思いましたね。同時に、「人間の体って、どうなってるんだろう?」という興味も芽生えてきました。そして「医師になる」と決意しました。当時、医師になりたい人の多くは主にアメリカに留学していたのですが、私の場合は、父が「日本だったら留学してもいいよ」と言ってくれ、17歳で来日しました。

    ―日本語の習得、さらに医学部の受験。相当、勉強されましたよね。

    もちろん。とにかく必死で勉強しました。最初は日本語を習得するために、かなりハイレベルな語学学校に入学しました。留学生の多くは漢字圏の人々ですが、私は非漢字圏。難しいなあと思ったことも多々あります。しかも目指しているのは医学部。正直、学校の先生からも「医学部以外の道もあるのでは?」と言われたこともあります。でも、あきらめる気持ちは一切ありませんでした。だって、ずっと医師になりたかったんですから。「私にはこれしかない。医師になるために日本に来たんだ」と思うと、どんなにつらいことにも立ち向かえましたね。そして希望通り、医学部に入学できました。医学部の学生になってからも、毎日が充実していました。期待はずれだと思ったこともありません。ドクターとして働くことは、私の変わらない夢。気持ちが揺らぐことなんてありませんでしたね。

    ―医師になるという夢を実現されたわけですが、患者さんの反応は?

    私はこのように外国人の顔をしています。なので、最初はびっくりされる患者さんもいました。患者さんが診察室の扉を開けたら、いきなり外国人がそこにいるんですものね(笑)。でも私はそれを困難だととらえたことはありません。なぜなら患者さんは具合が悪いから病院に行きます。その苦痛や訴えを医師がわかってくれるのなら、患者さんは安心だしうれしい。それは世界共通です。私が話し始めると、皆さん、あっという間に打ち解けてくれます。地方の病院にも勤務しましたが、お年寄りやお子さんの方が、あっという間に私と仲良くなってくれるんです。きっと私がフランクに接しているので、患者さんも気負うことなくリラックスしてくださるのでしょう。双方にバリアがないというか、コミュニケーションも円滑にとれています。

    ライフワークの一つ、「斜視・弱視」の治療

    ―先生は、なぜ眼科医を選んだのですか?

    医師には内科系に向いている人と外科系に向いている人がいます。私の場合は、おそらく外科系タイプだろうと思っていました。眼科というのは内科系と外科系の両方の要素を持ち併せています。眼科以外の診療の場合は、まずは内科で診断され、状況によって外科へ、あるいは外科の処置が終わった後は内科へというような流れが多いですよね。しかし眼科の場合は、眼について一通りの治療やアプローチを行うことができます。また眼というのは脳との関連も大きく、私たちは眼球でものを見ているというよりも、脳でものを見ていると言った方が正確です。なので眼を扱うということは、人間の体の仕組みを奥深く追求することにもなります。人間の体というのは、本当に良くできているんですよ。「なんでこんなに緻密なの? なんでこんなに素晴らしいの?」と、今でも常に思い続けていますよ。

    ―斜視、弱視の治療にも力を入れてますね。

    当院では小児眼科、とりわけ斜視、弱視の治療に力を入れており、大きな必要性があるとも感じています。斜視や弱視の検査や訓練は、大きな病院で対応するケースが多いですが、大きな病院の場合は遠方で通いにくかったり、あるいは予約がなかなか取れなかったりと、患者さんにとって不便なこともあるでしょう。しかし身近な開業医で斜視や弱視の検査や訓練が行えるのなら、きっと患者さんにも便利だと思います。斜視・弱視については早期に発見し、そして治療や訓練もはやく行うことで大きく改善できます。よく区や市などの3歳児健診で見つかることが多いのですが、それと合わせて3歳になったら眼科のクリニックで正確な視力検査を受けることをお勧めしています。当院では視能訓練士による視能訓練も行っています。弱視に気づかないまま大人になってしまう方も少なくありませんから、お子様の眼で気になることがあれば、気軽に診察に来ていただきたいですね。子どもの斜視・弱視の改善は、私にとってライフワークの一つだと考えています。

    ―往診もされているそうですね。

    当院にはハンディータイプの検査機器も取りそろえています。場合によっては、これらの機器を持参して、往診を行うこともあります。もちろん往診を希望される方の多くは、寝たきりや外に出られない患者さん。そのような患者さんにとって唯一の楽しみといっていいのがテレビを観ることなんです。その楽しみを失わないためにも、できるだけ長くいい状態で眼を使えるようにしたいですからね。当院には日本人の患者さんはもちろん、外国人の患者さんも来られます。なので眼の検査機器も世界標準のものを導入しています。

    「眼」だけではない。「眼」も「人」も診られるドクターに

    ―患者さんとの記憶に残るエピソードは?

    とにかくたくさんの数の患者さんを診察してきました。初めて主治医となって担当した患者さんのことも、まるで昨日のことのように覚えています。地方の病院に勤務していた頃は、患者さんの多くがご高齢者。田舎のおじいちゃん、おばあちゃんって、本当にユニークな方が多かったですね。逆まつげの手術を施した、あるご高齢のご婦人から「先生、上手にできましたね」とお褒めの言葉をいただいたことも(笑)。そんな患者さん一人ひとりが、私にとっては特別な人々です。患者さんと接するとき、私が気を付けているのは、患者さんの訴えを上手に聞き出すことです。例えば「眼がゴロゴロする」という言い方がありますよね。でも、実際は違っていることもあります。すべての患者さんが、正確な言葉で症状を説明できるわけではありません。なので、こちらから上手に聞くことが必要です。そこからすべてが始まると思っています。

    ―先生は、どのような休日を過ごしていますか?

    家族とのんびり過ごしています。自然が好きで、家族で公園に出掛けたり、あるいは家でガーデニングに興じたりしています。わが家には小学生の子どもがいますが、育児や家事は夫とともに助け合いながらこなしています。読者の方の中にも、同じ年頃のお子さんを持つ方が多いでしょうね。ときどきママやパパたちに眼と人気のゲーム機の関係について聞かれますが、あまり神経質になる必要はないと思います。わが家でも、昨年のクリスマスに、サンタさんが持ってきてくれましたから(笑)。ただし子どもには「暗いところではやっちゃダメよ」と注意しています。眼と電子機器の関係は、現代社会において、とても難しい問題の一つでしょう。インターネットから情報を得ることで、世界が広がることもあるのですから、完全に禁じることもできません。ただ、人間の体は本当にうまくできていて、いろんな信号を発してくれます。何か調子が悪い、眼が赤いというサインが出たら、ゲーム機やパソコンから離れて、眼を休ませるようにしてください。

    ―先生の、今後の展望は?

    まず一人の母としての夢は、子どもが元気に育って自立していくのを見守ること。つづいてクリニックの夢としては、開院したばかりですから、当院をもっとたくさんの方々に認知していただくこと。当院は上野毛駅を出てすぐの場所にあるのですが、駅が工事中のせいかわかりにくいようで、よく「行き方を教えてください」というお電話がかかってきます。上野毛駅の改札を出て右に進み、すぐの路地を曲がるだけですからね。駅から歩いて1分の距離ですから、小さなお子さんを連れたママや忙しい方にもきっと通いやすいと思います。ときどき「こんな小さい子を連れて行ったら迷惑かな?」と遠慮するママもいますが、そんな心配は不要です。ママの眼、お子さんの眼、そしてご家族の眼。気になることがあれば気軽にお越しください。「眼は心の眼でもある」という言葉がありますが、ストレスによって眼の健康を失う人もいます。だからこそ、私は「眼」を診ますが、同時に「人」も診れるドクターでありたいと思ってます。眼のホームドクターとして、今後も地域の皆さんの眼の健康を守っていきたいですね。

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