東郷克美

Togo1本来「大地」に境界などないのである。
いささか大仰ながら、私はときどき「脱国」ということを夢想する。明治維新は脱藩した志士たちが大きな力になって実現した。もちろん、脱国したまま、この日本社会で生きることは現実的には不可能だろう。しかも「国家」は個人が自らの意思で選んだものではない。だとすれば、国家が「愛国」を強制することはできないはずだ。一方で、〈在日〉コリアンという存在のことを考える。彼らはそのアイデンティティを保証する国家をもたない。不謹慎に聞こえるかもしれないが、私は時々〈在日〉薩摩人ということを考えてみることがある。

2 thoughts on “東郷克美

  1. shinichi Post author

    地震・原発・国境、そして大地

    by 東郷克美

    **

    daichi文芸誌 <大地> 第48号

    2012年3月

    金沢大学学生と創刊した文芸誌<大地>は、40周年を経ての第48号を、金沢大学創基150年に連動しての特集(金沢大学のテーマ)を組んで世に問いました。 詩・散文・俳句・短歌・随筆及び「40周年祝言」をも盛りこみ、明日へ目線の地域発信を視野にと、編集に努めました。

    http://www.jswork.jp/jsindex/jsbookview.aspx?NO=6699

    特集:features for the future

    追悼 坂三重子 <大地>の母

    詩とは何か  犀星と中也

    招待席② 地震・原発・国境、そして大地  (早稲田大学名誉教授)東郷克美

    Reply
  2. shinichi Post author

    (sk)

    私は常々、東郷克美の考えこそが、真ん中にあるものだと思ってきた。東郷克美が保守に見えた時は、世の中がリベラルに振れすぎていたのだし、東郷克美がリベラルに見える今は、世の中が保守に振れすぎているのだ。

    東郷克美は朴裕河と同じく、対立よりも和解をという精神に満ち溢れている。石牟礼道子や姜尚中のように、見棄てられた人たちの目で物事を見ることができる。そして、井伏鱒二のようにユーモアと哀感を知る。

    東郷克美が国家だの国などということに憂いを持たなくてすむようなそんな社会が、早く日本にも実現するといいと、心から思う。

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