沖縄タイムス

改正沖縄振興特別措置法(沖振法)案と駐留軍用地跡地利用特別措置法(跡地法)案の沖縄関係2法案が30日、参院本会議で可決、成立した。4月1日から沖縄県は新しい法律の下で、今後10年間の沖縄振興を進めることになる。
。。。
新時代の沖縄振興は、沖縄側の意識改革が伴わなければ絵に描いた餅になりかねない。国の特別措置にもたれかかり、そこに安住するだけでは、将来展望は開けない。

2 thoughts on “沖縄タイムス

  1. shinichi Post author

     改正沖縄振興特別措置法(沖振法)案と駐留軍用地跡地利用特別措置法(跡地法)案の沖縄関係2法案が30日、参院本会議で可決、成立した。4月1日から沖縄県は新しい法律の下で、今後10年間の沖縄振興を進めることになる。

     どのような条項をどういう形で法律に盛り込むかは、もちろん重要ではあるが、法律に盛り込まれたからといって、それが直ちに実現できるとは限らない。施策を具体化するのは人である。制度を生かすも殺すも、詰まるところ人、だということを肝に銘じたい。

     アジアの経済環境が変化すれば、税制の優遇措置などの改善点は、水泡に帰すことになりかねない。制度や条文を絶対視せず、たえず使い勝手を検証し、現実に適合した仕組みに「進化」させていくことが重要だ。

     復帰の際に制定された沖縄開発3法と復帰特別措置法は、「本土と沖縄の格差是正」「自立的経済発展のための基礎条件の整備」「復帰に伴う激変緩和」などを目的にしていた。

     復帰以来、10年単位で延長、再延長を重ねた旧沖振法が大きく変わったのは、2002年4月からだ。「沖縄振興開発特別措置法」という従来の名称から「開発」という言葉が消え、「沖縄振興特別措置法」に変わった。インフラ整備重視の後進国的な開発行政からソフト施策重視への転換を打ち出したのである。

     今回の法改正で沖縄振興のための法制度は、沖縄の主体性重視という方向に、さらに大きく変わった。

     最大の変化は、県が原案を策定し国が決定する従来の沖縄振興計画の性格を改め、策定主体を県にしたことだ。新しい制度では、国が沖縄振興基本方針を定め、県が沖縄振興計画を策定することになっている。自由度の高い沖縄振興交付金(一括交付金)の創設も大きな変化だ。

     旧沖振法は、社会資本の整備と産業振興に重点を置いてきた。改正法が「子育ての支援」という条項を盛り込み、子どもの貧困対策や若い夫婦の子育て支援などのソフト事業に取り組む姿勢を示したことは大きな転換であり、高く評価したい。

     鉄軌道の整備が明記されたことも特筆される。

     跡地法は、特定・大規模跡地のような面積区分を廃止し、5ヘクタール以上の土地すべてについて国が関与することを定め、地主の不利益にならないよう給付金の給付期限を拡充した。

     02年に成立した旧法は、金融特区などの「釣り具」をたくさん盛り込んだが、制約が多く、「魚の釣れない釣り具」だった。

     沖縄振興策が全体として「日米安保の安定維持装置」として作用してきた点も見逃せない。

     新時代の沖縄振興は、沖縄側の意識改革が伴わなければ絵に描いた餅になりかねない。国の特別措置にもたれかかり、そこに安住するだけでは、将来展望は開けない。

     自立の気概にあふれた、やる気のある人材を育てていくことが大切だ。

    Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *