大手商社・五井商事の金沢明彦は、イラクで原油取引の交渉中、サハリンの巨大ガス田開発へ異動を命じられる。下位商社トーニチ役員の亀岡吾郎は、通産官僚と結託してイランの「日の丸油田」をブチ上げ、米系投資銀の秋月修二はエネルギー・デリバティブで中国企業をカモろうと企む。
サハリン巨大ガス田開発のパイプライン入札が始まった。しかし、プロジェクトは、環境保護団体やロシア国民の反対運動に直面する。原油価格は天井知らずに高騰し、秋月の術中に嵌った中国系燃料商社の損失は雪だるま式に膨らむ。一方、イランの「日の丸油田」は、米国の対イラン制裁の荒波に直撃される。
プーチンが、サハリン巨大ガス田開発の予算超過に激怒。クレムリンの攻撃犬と呼ばれるロシア人官僚や石油メジャーに恨みを抱く英国人父子の介在で、プロジェクトは窮地に。トーニチを辞した亀岡はイランの「日の丸油田」を救おうと奔走する。
エネルギー
by 黒木亮
三菱商事のロンドン現地法人でプロジェクト金融部長だった黒木亮が、実際に起きたことを小説というかたちで、日経ビジネスに連載した。
国際資源戦争のなか、商社で働く人たちは、プロジェクトファイナンス実現のために、手段を選ばず執拗に動く。エネルギービジネスとファイナンスの動きについて非常に参考になる一冊。総合商社で働く主人公の姿には真に迫るものがある。
国際経済小説の旗手による資源ビジネスの最前線
石油の一滴は、血の一滴か、それとも市場の玩具なのか
誰が日本のエネルギーを確保するのか?
商社マンたちが挑む、サハリンLNGと中東原油
高騰する石油市場で蠢く投資銀行とヘッジファンド
エネルギー・デリバティブで中国企業をカモれ