島薗進

inochiwo誰もが願う「より健康に、より長く生きたい」という希望。iPS細胞による再生医療をはじめ、出生前診断、遺伝子治療やロボット技術――最新のバイオテクノロジーに根差す現代医療は、その願いを着実に実現しつつあり、「病気や老化を克服する」可能性さえも見えてきた。
ところが、従来不可能であったことが「できてしまう」ようになることで、私たちはこれまで想像もしなかった課題に直面しつつある。それはたとえば、「技術的に可能なら、人工的に人のいのちをつくり出してもよいのか?」「身体の特徴や能力、知性などを親が好きに選んで、子どもをデザインしてもよいのか?」など、今日の倫理観では対処できないようなジレンマだ。そしてそれらは、テクノロジーが発展するほどにますます複雑になっていく。人がただ望むままに進んでいくならば、私たちはやがて「いのちをつくり変える」領域に踏み込んでしまうのではないか。


2 thoughts on “島薗進

  1. shinichi Post author

    いのちをつくってもいいですか?

    WEBRONZA

    朝日新聞

    http://webronza.asahi.com/national/themes/2016013000002.html?iref=comtop_btm

    iPS細胞の研究で京都大の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞するなど、科学の進歩はめざましい。半面、医学や生命科学の研究の中には、受精卵を選んで親が「よい」と判断した遺伝的特質を持つ子供を産むなど、人や社会のあり方を変えてしまいかねないものもある。「いのちをつくってもいいですか?」。島薗進教授は問いかける。

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