山本聡

<法なるもの>とはいかなるもので、そしてどのように法化され、社会秩序の維持(法的安定性)に寄与しているのか。この答えのヒントとなるのが、「法律は道徳の最低限である」という法諺だ。崇高さのレベルから「倫理>道徳>マナー>法律」と考えれば、法律は社会を維持するための最低限の成文化されたルールと言うことが出来る。ただ、最低限のルールさえ守っていれば、良好な人間関係・平穏な社会生活が営めるのかと言えば、むしろそうした捉え方にこそ問題がありトラブルの火種になっている(過敏な厳罰化、サービス残業、法定相続問題など)現実が垣間見られる。法律・裁判を神聖視していた、社会の枠組み(人間関係やしきたり)が単純であった昔とは違い、各個人に自律した判断を求められる多様化社会においては、重要なのは「他人(?)に迷惑(?)をかけないこと」であり、むしろその曖昧さによって混乱を深刻化させているともいえる。それゆえ、他者との交渉には法律をよりどころにする傾向が強まった(昔は法や裁判を禁忌する、今は法を自己利益に利用しようとする)。

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