読売新聞

「1192(イイクニ)つくろう」。語呂合わせでおなじみだった鎌倉幕府成立の年について、近年有力な1185(イイハコ)年など六つの説をまとめて紹介する高校教科書が、来春から登場する。
学説をこれほど並べるのは異例で、文部科学省の担当者も「いままで見た記憶がない」と驚く。古代から中世の歴史は学説が動くことも多く、教科書の記述も「ゆるめ」になっているようだ。
六つの説を掲載したのは、26日に検定を合格した東京書籍の「日本史B」。源頼朝が鎌倉に侍所を設けた1180年から、征夷大将軍に任命された1192年まで並べた。このうち、頼朝が守護や地頭の任命権などを獲得した1185年を「幕府成立」とする学説を「現在ではこれを支持する学者が多い」と紹介した。
ただ、いずれの説にも軍配を上げず、「幕府をどうとらえるかによって、成立した時期も変わってくる」と記述した。編集担当者は「歴史的事実は『何年』という風に決まるものばかりでなく、幅があることを考えてほしい」と話す。
今回、合格した日本史Bの教科書はほかに5冊あるが、「頼朝に始まる武家政権を鎌倉幕府と呼んでいる」などと、いずれも幕府成立の年を特定していない。

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