橘玲

最貧困女子は、精神障害、発達障害、知的障害という「3つの障害」によって、社会資本(家族や友人)も金融資本(貯金)もほとんど持っていないため、人的資本(仕事)を失うとあっといあまに社会の最底辺に落ちてしまう。日本においても、知能の格差が経済格差として現れているのだ。
私たちはこの「残酷すぎる真実」を直視するのを恐れ、知能と貧困との明確な関係にずっと気づかないふりをしてきた。税金を投入して高等教育を無償化したところで、教育に適性のない最貧困層の困窮は何一つ改善しないだろう。その代わり、知識社会に適応した高学歴層(教育関係者)の既得権がまた一つ増えるだけだ。
パン屋が、「パンを食べれば健康になるから税金でパンを無料にすべきだ」と主張するのなら、パンと健康との因果関係を科学的に証明し、納税者を説得する責任はパン屋にある。教育関係者は「知能の遺伝率はきわめて高い」という行動遺伝学の知見を無視し、説明責任を放棄したまま、「教育にもっと税を投入すればみんなが幸福になれる」と主張して巨額の公費を手にしている。
「知識社会」とは、知能の高い人間が知能の低い人間を搾取する社会のことなのだ。

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