宮子あずさ

私は仕事柄、多くの患者さんの死を見送ってきた。あっけない死、苦痛の中の死。その人がどれだけの人を幸せにしたか、不幸にしたか。そんな話とはまったく無関係に、死に方は決まる。
医療者として尽くす手だては尽くすとしても、最後はその人の運次第。
こんなことを言うときまじめな人からは怒られるのだが、やっぱりこの考えは変わらない。
だから私は自分の死についても、えり好みはできないと諦めている。
しかし、そんな私でも、できればこんなふうに死ねたら良いなあ、と思ったご夫婦がいる。
報道によれば、先月二十一日に板橋区の自宅で亡くなったご夫婦は、九十七歳と九十三歳。ほぼ同じ時に病死したらしく、異変に気づいた近所の人の通報で発見された時、食卓には食事が準備されていたという。お子さんはなく、近所でも評判の仲良し夫婦だったという。夫婦水入らずの最期は、とてもすてき。私たち夫婦もそんなふうに終わりたい。
在宅医療が進むほど、亡くなって発見される人は必ず増加する。それを孤独死だ、孤立死だ、と否定しては、本人も支援者も浮かばれない。
時代は変わっている。死ぬ瞬間、立ち会う人がいるか否かで、死に方の善しあしを決める考え方はもうやめたほうがいい。ご夫婦のすてきな在宅死をうらやみつつ、その意を強くした。

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