市川園 お茶ミュージアム 1 Reply 国別に見た茶*の消費量(2007-2009) 国別に見た国民一人当たりの茶*の消費量(2007-2009) 社団法人日本茶業中央会「平成23年版 茶関係資料」より作成 ※茶は紅茶、ウーロン茶、緑茶などの合計
shinichi Post author17/01/2017 at 11:31 pm 世界のお茶文化 ~各地に根差したお茶の愉しみ~ 市川園 お茶ミュージアム お茶の情報がギュっと詰まったウェブ博物館 http://museum.ichikawaen.co.jp/knowledge/oversea.php ●世界で愛されるお茶 ~消費量から見るお茶好きの国や地域~ お茶で有名な国というと、世界の紅茶文化をけん引するイギリス、世界トップのお茶産出国の中国やインドなどがよく挙げられます。では、実際にお茶をたくさん飲む国はどこでしょうか。お茶の消費量の国際比較を見てみましょう。 ○国別に見たお茶の消費量 紅茶、ウーロン茶、緑茶などを合計した「お茶」の消費量を見ると、世界で最もたくさんのお茶を消費している国は中国で、およそ87万t。続いてインドの約80万t。第3位はCIS諸国(ロシアなど旧ソ連構成国の連合体)の25万t、第4位にトルコの14万t。そして約13万tを消費する日本が第5位にランクイン。以下、イギリス、アメリカ、パキスタン、エジプト、イランと続きます。 中国、インドは、お茶の一大産地であり、人口も多いことから、お茶の消費量は3位以下を大きく離して格段に多いのも自然なことでしょう。日本も、イギリスを若干上回る消費量で、第5位と健闘しています。そして、少し意外に思われる方もいると思いますが、トルコ、エジプト、イランなど、中東(西アジア、アフリカの一部)の国々もお茶の消費量が多く、上位にランクインしています。 これらの中には、そのほとんどを輸入に頼っている国も少なくありません。例えば、CIS諸国、イギリス、アメリカ、エジプトなどです。また、イランや日本は自国内でたくさんのお茶を栽培していますが、輸入もして消費量を補っています。 ○国民一人当たりの茶の消費量 続いて、お茶の一人当たりの消費量をみてみましょう。 一人あたりのお茶の消費量が最も多い国は、クウェートです。ペルシャ湾に面する石油産出国・クウェートでは、一人当たり2.46kgのお茶を飲んでいる計算です。2位はアイルランドの2.23kg、3位に紅茶王国のイギリスで2.07kgとなっています。4位から8位は、カタール、トルコ、アフガニスタン、モロッコ、リビアと中東の国々が続き、9位に台湾の1.54kg、10位にシリアが入ります。 国別の消費量ランキングのトップ3は、一人当たり消費量の順位はあまり高くありません。CIS諸国は0.94kgで21位、インドが0.69kgで23位、中国は0.66kgで24位。これらの国々は、一人あたりの消費量が極端に多いのではなく、人口が多いために、国全体の消費量が多いようです。 日本は、一人あたりの消費量は1.05kgで17位です。東アジアの中では台湾、香港に次いで3番目ですが、日本より上位に、いくつもの中東の国々がランクインしています。一人あたりの消費量で比べると、1位のクウェート、2位のアイルランド、3位のイギリスは、日本人のおよそ2倍のお茶を飲んでいると言えますね。 アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカと、お茶は世界中で飲まれているのね。特に中東の人たちはたくさん飲んでいて、世界一のお茶好きかもしれないわ! ●お茶の楽しみ方は千差万別 ~お茶も「郷に入っては郷に従え」!? 日本でお茶と言えば緑茶をイメージする方が多いのですが、世界全体では、紅茶が主流。生産量の約8割が紅茶で、紅茶を飲む人もそれだけ多いと言えます。そんな紅茶も、飲み方については、世界各地でそれぞれの発展をしてきました。各地で独自に発達した茶器は、工芸品としても見ものです。 世界の紅茶の飲み方を見回すと、砂糖、あるいは、砂糖とミルクを加える飲み方が広く愛されています。ハーブやスパイスを入れるのが当たり前、という地域もあり、ストレートティーはあまり多くありません。 紅茶の一大産地、インドなどの南アジアでは、紅茶を鍋で煮出し、砂糖とミルクをたっぷり加えたミルクティーが好まれています。料理にも使うスパイスを、体調に合わせて調合し、ミルクティーに加え、健康ドリンクのように飲むこともあります。 東南アジアでは、コンデンスミルクを加える地域もあります。紅茶も緑茶も生産される地域なのでお茶の種類が豊かなのと、多民族国家ということもあり、それぞれに由来の文化のお茶が飲まれています。中東のように、暑く、乾燥した地域では、砂糖を入れた熱いお茶を、日に何度も飲んでいます。 イギリスではティーパーティーが発展し、紅茶が社交の場の大切なアイテムにも位置づけられました。紅茶でもてなすとき、いただくときのマナーは、イギリス人が高い関心を寄せるテーマの一つです。 紅茶に対しては少数派になるウーロン茶は中国や東南アジアなどで、緑茶は日本、中国、東南アジアを中心に飲まれています。ウーロン茶と緑茶は、砂糖などを加えずに、ストレートで飲むのが一般的です。 日本には、冷抹茶、冷茶など、特に暑い時期に冷やしたお茶を飲む風習がありますね。しかし世界を見回すと、お茶は熱いもの、温かいのが常識という地域がほとんどです。冷たいお茶は珍しいのです。 もう一つ、日本から世界へ発信している、現代のお茶文化があります。コンビニエンスストアの普及と、日本の飲料メーカーの努力で、ペットボトル入りのお茶が海外にも普及してきています。味わいは販売地域に合わせたものになっており、中国や東南アジアでは、加糖の緑茶飲料もよく見かけます。 Reply ↓
世界のお茶文化 ~各地に根差したお茶の愉しみ~
市川園 お茶ミュージアム
お茶の情報がギュっと詰まったウェブ博物館
http://museum.ichikawaen.co.jp/knowledge/oversea.php
●世界で愛されるお茶
~消費量から見るお茶好きの国や地域~
お茶で有名な国というと、世界の紅茶文化をけん引するイギリス、世界トップのお茶産出国の中国やインドなどがよく挙げられます。では、実際にお茶をたくさん飲む国はどこでしょうか。お茶の消費量の国際比較を見てみましょう。
○国別に見たお茶の消費量
紅茶、ウーロン茶、緑茶などを合計した「お茶」の消費量を見ると、世界で最もたくさんのお茶を消費している国は中国で、およそ87万t。続いてインドの約80万t。第3位はCIS諸国(ロシアなど旧ソ連構成国の連合体)の25万t、第4位にトルコの14万t。そして約13万tを消費する日本が第5位にランクイン。以下、イギリス、アメリカ、パキスタン、エジプト、イランと続きます。
中国、インドは、お茶の一大産地であり、人口も多いことから、お茶の消費量は3位以下を大きく離して格段に多いのも自然なことでしょう。日本も、イギリスを若干上回る消費量で、第5位と健闘しています。そして、少し意外に思われる方もいると思いますが、トルコ、エジプト、イランなど、中東(西アジア、アフリカの一部)の国々もお茶の消費量が多く、上位にランクインしています。
これらの中には、そのほとんどを輸入に頼っている国も少なくありません。例えば、CIS諸国、イギリス、アメリカ、エジプトなどです。また、イランや日本は自国内でたくさんのお茶を栽培していますが、輸入もして消費量を補っています。
○国民一人当たりの茶の消費量
続いて、お茶の一人当たりの消費量をみてみましょう。
一人あたりのお茶の消費量が最も多い国は、クウェートです。ペルシャ湾に面する石油産出国・クウェートでは、一人当たり2.46kgのお茶を飲んでいる計算です。2位はアイルランドの2.23kg、3位に紅茶王国のイギリスで2.07kgとなっています。4位から8位は、カタール、トルコ、アフガニスタン、モロッコ、リビアと中東の国々が続き、9位に台湾の1.54kg、10位にシリアが入ります。
国別の消費量ランキングのトップ3は、一人当たり消費量の順位はあまり高くありません。CIS諸国は0.94kgで21位、インドが0.69kgで23位、中国は0.66kgで24位。これらの国々は、一人あたりの消費量が極端に多いのではなく、人口が多いために、国全体の消費量が多いようです。
日本は、一人あたりの消費量は1.05kgで17位です。東アジアの中では台湾、香港に次いで3番目ですが、日本より上位に、いくつもの中東の国々がランクインしています。一人あたりの消費量で比べると、1位のクウェート、2位のアイルランド、3位のイギリスは、日本人のおよそ2倍のお茶を飲んでいると言えますね。
アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカと、お茶は世界中で飲まれているのね。特に中東の人たちはたくさん飲んでいて、世界一のお茶好きかもしれないわ!
●お茶の楽しみ方は千差万別
~お茶も「郷に入っては郷に従え」!?
日本でお茶と言えば緑茶をイメージする方が多いのですが、世界全体では、紅茶が主流。生産量の約8割が紅茶で、紅茶を飲む人もそれだけ多いと言えます。そんな紅茶も、飲み方については、世界各地でそれぞれの発展をしてきました。各地で独自に発達した茶器は、工芸品としても見ものです。
世界の紅茶の飲み方を見回すと、砂糖、あるいは、砂糖とミルクを加える飲み方が広く愛されています。ハーブやスパイスを入れるのが当たり前、という地域もあり、ストレートティーはあまり多くありません。
紅茶の一大産地、インドなどの南アジアでは、紅茶を鍋で煮出し、砂糖とミルクをたっぷり加えたミルクティーが好まれています。料理にも使うスパイスを、体調に合わせて調合し、ミルクティーに加え、健康ドリンクのように飲むこともあります。
東南アジアでは、コンデンスミルクを加える地域もあります。紅茶も緑茶も生産される地域なのでお茶の種類が豊かなのと、多民族国家ということもあり、それぞれに由来の文化のお茶が飲まれています。中東のように、暑く、乾燥した地域では、砂糖を入れた熱いお茶を、日に何度も飲んでいます。
イギリスではティーパーティーが発展し、紅茶が社交の場の大切なアイテムにも位置づけられました。紅茶でもてなすとき、いただくときのマナーは、イギリス人が高い関心を寄せるテーマの一つです。
紅茶に対しては少数派になるウーロン茶は中国や東南アジアなどで、緑茶は日本、中国、東南アジアを中心に飲まれています。ウーロン茶と緑茶は、砂糖などを加えずに、ストレートで飲むのが一般的です。
日本には、冷抹茶、冷茶など、特に暑い時期に冷やしたお茶を飲む風習がありますね。しかし世界を見回すと、お茶は熱いもの、温かいのが常識という地域がほとんどです。冷たいお茶は珍しいのです。
もう一つ、日本から世界へ発信している、現代のお茶文化があります。コンビニエンスストアの普及と、日本の飲料メーカーの努力で、ペットボトル入りのお茶が海外にも普及してきています。味わいは販売地域に合わせたものになっており、中国や東南アジアでは、加糖の緑茶飲料もよく見かけます。