山本達也

ソーシャルメディアは、エジプトの人々に「我々は一人ではないのだ」、「同じフラストレーションを溜めている人々は他にもいるのだ」、「同じ夢を共有している人々がいるのだ」、「多くの人が自由を気にかけているのだ」ということを気づかせた。こうしたソーシャルメディアを介した「心理的な連帯」と「想いの同期化」が、これまでのエジプト社会で人々を行動に転嫁させることなく思いとどまらせていた「恐怖の心理的な壁」(fear of barrier psychological)を乗り越えさせたという。
つまり、エジプトの若者層を突き動かしたのは、ある種の「単純な正義感」であり、そこには政治的なイデオロギーも党派性も見当たらない。しかし、それゆえに、若者たちの主張は他の若者たちに簡単に伝播し、共感が共感を呼ぶことで、爆発的な勢いを獲得することができたのである。
カギは「心理的な連帯」と「想いの同期化」であるが、それを可能とするのは「共感」を呼ぶことのできるコンテンツやメッセージの有無である。

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One Response to 山本達也

  1. shinichi says:

    イスラーム世界における情報化の進展と政治・社会変容

    by 山本達也

    http://www.taf.or.jp/report/27/index/page/P287.pdf

    「フェイスブック」を通したデモの呼びかけに対して、多くの若者が呼応し、大規模な「反政府デモ」が発生した。明確なリーダーが不在の中、デモの集会場所に示し合わせたかのように人々が集結していったのである。

    こうした集団は、「スマートモブ」(mob smart)として知られている。「賢い群衆」という意味である。

    「革命 2.0」

    エジプトにおける政治変動で重要人物の1人として注目を浴びるようになった、米国グーグル社の幹部ゴニーム(Ghonim Wael)は、今回の革命劇を「革命 2.0」(revolution 0.2)だったと評している。ゴニームによると、革命 2.0とは、「ヒーローがおらず、すべての人がヒーローであり、みんなが少しずつ貢献しながら、最終的に世界最大の百科事典を作り上げてしまうというウィキペディア(Wikipedia)のようなもの」であり、ソーシャルメディアの活用によって特徴付けられるデジタル時代の革命だと考えることができる。確かに、今回の革命劇には、明確なリーダーや中心が存在しない中で運動の組織化を実現したという特徴がある。

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