千本木啓文

新潟県のある農家は、「かつて魚沼産コシヒカリの流通量は、生産量の10倍もあった。いまだに、偽装まがいが横行しており、しかもその仕業がJAグループによるものだとすれば、怒りを通り越して悲しくなる」と話す。


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One Response to 千本木啓文

  1. shinichi says:

    「JAのコメ」に産地偽装の疑い、魚沼産に中国産混入

    週刊ダイヤモンド編集部 千本木啓文

    「週刊ダイヤモンド」はJAグループ京都の米卸が販売するコメの産地判別検査を実施した。その結果、「滋賀産」や「魚沼産」として販売されていたコメに中国産が混入している疑いがあることが分かった。(週刊ダイヤモンド2017年2月18日号特集「儲かる農業」より)
    http://diamond.jp/articles/-/117642?display=b

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     JAグループ京都の米卸「京山(きょうざん)」が販売する複数のコメに産地偽装の疑いがあることが本誌の調べで分かった。専門の検査機関に産地判別を依頼したところ、「滋賀産」や「魚沼産」として売られていたコメに中国産が混入しているとの結果が出たのだ。

     JAグループは農家が組織した農業団体だ。「農家がつくった組織なら産地偽装はしないはずだ」と信じてコメを買ってきた消費者もいるだろう。しかし、京山のコメを調べると、そうした消費者の信頼を裏切る疑惑が次々と飛び出して来た。

     本誌は、京山が精米・販売したコシヒカリ4袋(各5kg)を「京都ひがしやまいちば楽天市場店」で購入し、産地判別において実績がある同位体研究所に検査を依頼した。

     2週間後、検査結果を見て目を疑った。「滋賀こしひかり」の10粒中6粒が中国産と判別されたのだ。

     仮に、行政検査で同様の結果が出たとすれば、通知なしの立ち入り検査が行われ、取引伝票から不正の実態が調べ上げられるはずだ。

     疑惑のコメの流通経路の特定は行政による検査を待たねばならないが、知らないうちに中国産米を食べさせられていたことになる消費者、自身が生産したコメに中国産を混ぜて売られていた農家の怒りはいかばかりか。

     消費者庁のルールでは、大豆などの食品に「遺伝子組み換え作物ではない」と表示することを許されるのは、遺伝子組み換え作物の混入割合が「5%」までのものだ。そこまでなら“意図せざる”混入として許容される。

     今回のように、「10粒中6粒」という混入割合を、“意図せざる”混入とするのはかなり無理がある。同位体研究所は問題のコメについて、「外国産米と判別される」と検査報告書に明記した(冒頭写真参照)。

     コメの検査は、生育地で異なる安定同位体(同じ元素でありながら、わずかに重さの違うもの)の構成比から産地を調べる手法で行った。この手法は「安定同位体比による産地判別」と呼ばれ、ヨーロッパではチーズやワインの原産地の特定に使われている。世界的に信頼性が担保された検査技術だ。

     本誌が検査を依頼した同位体研究所は、2009年以降、行政検査や司法鑑定などで1000件以上の精米の産地判別を行ってきた。

     行政から検査を受託するには産地判別で9割以上の検査精度がなければいけない。同研究所のコメの産地判別の精度は92.8%だ。

     今回の検査ではコメ10粒のうち6粒を中国産と判別したが、これが間違いで、実は6粒とも国産だったという確率は7.2%の6乗であり、事実上0%である。

    “偽装米”を食べ比べセットで販売する大胆不敵

     しかも、京山による産地偽装が疑われるコメは1種類ではなかった。日本一のブランド米「魚沼産こしひかり」の10粒中4粒、「京都丹後こしひかり」の10粒中3粒が中国産と判別された。

     さらに疑惑は、中国産米のブレンドだけにとどまらない。「魚沼産こしひかり」のうち国産と判別されたコメも、「他府県産である可能性が高い」との検査結果が出たのだ。

     驚くべきことに、この「魚沼産こしひかり」は、格下の「新潟産こしひかり」と共に「食べ比べセット」として販売されていた。

     消費者が高級米と信じて食べていたコメは、中国産や他府県産が混じったデタラメなコメだった疑いがある。それでいて、味の違いを食べ比べてみてとは、大胆不敵以外の何物でもない。

     疑惑のコメが3商品も発覚したことからも、何らかの意思が働いて、表示とは異なるコメが混入したと考えるのが自然だろう。

     新潟県のある農家は、「かつて魚沼産コシヒカリの流通量は、生産量の10倍もあった。いまだに、偽装まがいが横行しており、しかもその仕業がJAグループによるものだとすれば、怒りを通り越して悲しくなる」と話す。

     京山は、JA全農京都が集めたコメの大部分を精米、販売する米卸だ。京山の法人登記によれば、株式の55%をJA京都中央会が、23%をJA全農京都が保有する。つまり、京山株式の8割はJAグループ京都が保有しているということだ。

     JAグループ京都がどんな組織なのか、また、今回の偽装疑惑が起きる背景などは、2月13日発売の「週刊ダイヤモンド2月18日号」で詳報するが、ここではJAグループ京都が、03年に全国に先駆けて稼働させたコメの産地などを公開する米トレーサビリティーシステムについて書いておきたい。

     JA全農京都と京山は、現在もインターネット上に米トレーサビリティーのページを設け、消費者が生産履歴を知るためにコメの製品情報を入力できるようにしている。しかし、実は1月末現在、流通しているコメで「産地を公開しているコメはない」(京都府農産課)。消費者への情報公開は見せ掛けで、安全・安心のシステムは、“開店休業”状態なのである。

     本誌は、産地偽装の有無や組織的な指示があったのかを確認するため、JA京都中央会に質問状を送った。同会は「京山が、中国産米をブレンドしたコメを国産のコシヒカリとして販売した事実はありません」と回答し、偽装の疑いを否定した。

     京山関係者は本誌の取材に対し「国家貿易の枠組み(SBS)でコメを輸入したが他社に転売した。精米工場には入れていない」と答えた。

     疑惑のコメの仕入れ先を京山に聞いたところ、「滋賀こしひかり」は滋賀県愛荘町産でJA東びわこから、「魚沼産こしひかり」は新潟県南魚沼市産でJA魚沼みなみから、ということだった。

     コメの偽装は米卸にとって手っ取り早く利益を上げられる麻薬のようなものだ。農水省によれば、日本の米卸は中小零細が多く、上位263社の14年度営業利益率は0.8%。最大3社でも同1.1〜2.7%と青息吐息の状態だ。スーパーからの価格下げ圧力と過当競争によって業績が悪化し、「産地偽装に手を染めている米卸が他にもいることは十分に考えられる」(業界関係者)。

     まして今回の疑惑の発震源は、コメの適正表示で範を示すべきJAグループだ。行政、当事者のJAグループも含めて実態解明に全力を上げる必要がある。

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