メディアに同調する人たちの脳は、社会のルールを破った人や異端者を糾弾することで快感を得るように出来ています。脳に、社会のために役立とうとする「向社会性」という働きがあるからです。脳がその集団自体が壊れてしまう危険性を感じると、異端者を一斉に排除しようとする働きを見せるわけです。
サイコパスの脳は、この「向社会性」を持たないため、異端者を糾弾することの快感を覚えません。「そんなことをしても自分には一円の得にもならない」と合理的に判断し、集団の総意に沿った言動を取らないのです。これを「反社会性」といいます。トランプ氏はその典型例でしょう。
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脳は負荷が高い器官です。全身のたった二%の重量しかないのに二五%の酸素を使い、二〇%のカロリーを消費します。だから大衆は、脳で一生懸命考えるより、脳を使わずパッと理解できる説明を好みます。また大衆は発言の根拠や裏づけの検証はしない。トランプ氏はそのことをよく知っています。
トランプはサイコパスである
by 中野信子
文藝春秋 2017年3月号
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(1)根拠のない自信がある
(女性の支持率は低いですよ。どうします?)
「いいえ、女性は私が好きです。トランプが大好きです」
(2)既存メディアを嫌う
「私とメディアは戦争状態にある」
「お前は偽ニュースだ」
(3)人をモノとして扱う
「彼らの家族を抹殺しなければならない」
《その人たちに感情や自尊心がないかのように接する》
(4)女性への接し方
「相手がスターなら、女はやらせる。何だってできる」
「夫すら満足させられないのに、なぜアメリカを満足させられるんだ」
(5)人間関係は利害関係
「He is a good man (話のわかるやつだ)」
「He is a good man (都合のいいやつだ)」