鎌倉時代に栄西が日本へ伝えた点茶は、その後、足利幕府に受け継がれ、千利休の時代には今の「点前」の基礎が確立します。
「茶をたてる」、「てまえ」という言葉は、早い時期から使われており、当初は「立てる」「手前」と書かれていました。「点てる」「点前」と「点」の字を使うようになったのは、江戸時代後期からのようで、中国語の「点茶」を「茶ヲ点ズ」と読み下したことに由来しています。また、茶人としても有名な幕末の大老井伊直弼は「点前」と書いて「たてまえ」と読ませていたそうです。その後、しだいに、「点前」は、「てまえ」と読まれるようになり、一方で「たてる」には「点てる」という字が当てられました。その後、この使い方が、一般的に使われるようになったのです。
「茶を点てる」と「点」の字を使うようになったのは150年程度以前のことのようです。栄西が「点茶」を伝えてから800年以上という長い茶の湯の歴史の中では、「点てる」という言葉の用い方は意外と歴史が浅いと言えますね。
お茶を点てるにはどうして点という漢字を使うの?
by 蒲生はな
http://wabi-sabi.info/archives/235
「お茶を入れましょう」は、
普段よく耳にするフレーズです。
緑茶もコーヒーも「入れる」ですが、
抹茶だけは「点てる」と書いて「たてる」と言います。
また、抹茶を点てる手順を「点前」といいますが、
ここでも「点」の字を使っていますね。
「点」の字を、「『た』てる」、「『て』まえ」と読ませるのは、
抹茶に関わる時だけの特別な使い方のようです。
抹茶は他のお茶と何が違うのでしょう?
なぜ、抹茶に関わる言葉に「点」の字をあてるのでしょう?
1 「お茶を入れる」と「お茶を点てる」の違い
2 中国が由来の「点茶」
3 「たてる」から「点てる」へ
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「お茶を入れる」と「お茶を点てる」の違い
煎茶は、茶葉を急須に入れてお湯を注ぎ、
葉が開いた頃に葉をこして、水分だけを茶碗に注ぎます。
麦茶は鍋ややかんで煮出しますし、
コーヒーは豆をグラインドしたものをフィルターに入れ、
その上からお湯を注いで抽出します。
煎茶、麦茶、コーヒーともに、葉や豆自体は飲まず、
そこから抽出された成分の混ざった水分を口に入れます。
抹茶は、粉末にした茶を茶碗に入れ、
そこにお湯を注いで撹拌して飲みます。
茶こしやフィルターでこすことはなく、
抹茶は、茶葉そのものを飲むのです。
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中国が由来の「点茶」
抹茶のように、茶葉を薬研などで碾いて細かくし、
粉末状態となった茶を茶碗に入れて
お湯を注ぎ均一に攪拌して飲む方法を、
中国では「点茶」と呼び、宋の時代に生まれました。
点茶は眠気を抑制し、
修行に励むのに適した飲み物として禅寺で広まります。
鎌倉時代に宋へ留学した栄西は、
この新しい喫茶法を日本に伝えます。
そして、栄西は、広く茶の効用を知らしめるために、
「喫茶養生記」という書を発表します。
さらに、二日酔いに苦しんでいた将軍源実朝に
一碗の茶を差し上げて気分を治したという出来事も奏功して、
日本では、点茶は禅寺に留まらず、
武士階級にも広く普及していきました。
一方、中国では、明時代、
茶を入れた急須にお湯を注ぎ茶碗に注いで飲む、
今の煎茶と同じ飲み方が普及します。
そのため、点茶は明時代には廃れてしまうのでした。
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「たてる」から「点てる」へ
鎌倉時代に栄西が日本へ伝えた点茶は、
その後、足利幕府に受け継がれ、
千利休の時代には今の「点前」の基礎が確立します。
「茶をたてる」、「てまえ」という言葉は、
早い時期から使われており、
当初は「立てる」「手前」と書かれていました。
「点てる」「点前」と「点」の字を使うようになったのは、
江戸時代後期からのようで、
中国語の「点茶」を「茶ヲ点ズ」
と読み下したことに由来しています。
また、茶人としても有名な幕末の大老井伊直弼は
「点前」と書いて「たてまえ」と読ませていたそうです。
その後、しだいに、「点前」は、「てまえ」と読まれるようになり、
一方で「たてる」には「点てる」という字が当てられました。
その後、この使い方が、一般的に使われるようになったのです。
「茶を点てる」と「点」の字を使うようになったのは
150年程度以前のことのようです。
栄西が「点茶」を伝えてから
800年以上という長い茶の湯の歴史の中では、
「点てる」という言葉の用い方は意外と歴史が浅いと言えますね。