萩原朔太郎

ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背廣をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。

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5 Responses to 萩原朔太郎

  1. shinichi says:

    旅上

    in 純情小曲集

    by 萩原朔太郎

  2. shinichi says:

    靜物

    in 純情小曲集

    by 萩原朔太郎

    靜物のこころは怒り
    そのうはべは哀しむ
    この器物の白き瞳にうつる
    窓ぎはのみどりはつめたし。

  3. shinichi says:

    恋を恋する人

    by 萩原朔太郎

    わたしはくちびるにべにをぬつて
    あたらしい白樺の幹に接吻した。
    よしんば私が美男であらうとも
    わたしの胸にはごむまりのやうな乳房がない
    わたしの皮膚からはきめのこまかい粉おしろいの匂ひがしない
    わたしはしなびきつた薄命男だ
    ああなんといふいぢらしい男だ
    けふのかぐはしい初夏の野原で
    きらきらする木立の中で
    手には空色の手ぶくろをすつぽりとはめてみた
    腰にはこるせつとのやうなものをはめてみた
    襟には襟おしろいのやうなものをぬりつけた
    かうしてひつそりとしなをつくりながら
    わたしは娘たちのするやうに
    こころもちくびをかしげて
    あたらしい白樺の幹に接吻した。
    くちびるにばらいろのべにをぬつて
    まつしろの高い樹木にすがりついた。

  4. shinichi says:

    愛憐

    in 月に吠える

    by 萩原朔太郎
     
    きつと可愛いかたい齒で、
    草のみどりをかみしめる女よ、
    女よ、
    このうす靑い草のいんきで、
    まんべんなくお前の顔をいろどつて、
    おまへの情慾をたかぶらしめ、
    しげる草むらでこつそりあそぼう、
    みたまへ、
    ここにはつりがね草がくびをふり、
    あそこではりんだうの手がしなしなと動いてゐる、
    ああわたしはしつかりとお前の乳房を抱きしめる、
    お前はお前で力いつぱいに私のからだを押へつける、
    さうしてこの人氣のない野原の中で、
    わたしたちは蛇のやうなあそびをしよう、
    ああ私は私できりきりとお前を可愛がつてやり、
    おまへの美しい皮膚の上に、靑い草の葉の汁をぬりつけてやる。

  5. shinichi says:

    朔太郎の詩集「月に吠える」 初版本、直筆原稿など資料90点を展示

    http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201709/CK2017092102000190.html

     前橋市出身の詩人、萩原朔太郎(一八八六~一九四二年)が代表作「月に吠(ほ)える」を刊行してから今年で百年を迎えるのに合わせた記念展が、前橋市千代田町の市立前橋文学館で開かれている。月に吠えるの初版本や直筆原稿などの資料約九十点を展示。一時は検閲によって発売禁止の内達を受けるなど、出版の背景にあったドラマが伝わってくる。十月九日まで。 (菅原洋)

     月に吠えるは一九一七(大正六)年、約五十五篇(へん)を収めて刊行。品切れとなり、詩壇から称賛され、朔太郎の地位を確立させた。

     ただ、刊行前の内務省による検閲で「風俗壊乱」に当たる詩があるとの指摘を受けた。このため、収録しようとした「愛憐(れん)」と「恋を恋する人」を削除し、発売の許可を得た。朔太郎はその後「風俗壊乱の詩とは何ぞ」と抗議の意を表明している。

     記念展では、二篇を削除した初版本、二篇を収録した再版本など希少な詩集を展示。削除本には、切り取ったページの残った部分に削除した旨を注意書きしている。直筆原稿では、月に吠えるに収録した「すえたる菊」「亀」などが並んでいる。

     月に吠えるに収録した詩は一四年の秋から約二年半の間に発表された。途中には詩作の中断期もあり、津島千絵学芸員は「その間の朔太郎の内面や精神の変化が詩に表れているのを感じ取ってほしい」と来館を呼び掛けている。

     来館した東京都在住で、太田市出身の自営業の女性(26)は「詩の背景に、朔太郎の音に対する感性の豊かさを感じた。ネガティブな詩などは感性が尖(とが)っており、深い闇の中から表現しているようだ」と朔太郎の世界を堪能していた。

     観覧料は一般三百円(常設展示も含む)、高校生以下は無料。原則水曜休館。

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