金子みすゞ

このうらまちの
ぬかるみに、
青いお空が
ありました。

とおく、とおく、
うつくしく、
すんだお空が
ありました。

このうらまちの
ぬかるみは、
深いお空で
ありました。

6 thoughts on “金子みすゞ

  1. shinichi Post author

    水と影

    by 金子みすゞ

    **

    お空のかげは、
    水のなかにいっぱい。

    お空のふちに、
    木立ちもうつる、
    野ばらもうつる。
      水はすなお、
      なんのかげもうつす。

    水のかげは、
    木立ちのしげみにちらちら。

    明るいかげよ、
    すずしいかげよ、
    ゆれてるかげよ。
      水はつつましい、
      自分のかげは小さい。

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  2. shinichi Post author

    大漁

    by 金子みすゞ

    **

    朝やけ小やけだ
    大漁だ
    大ばいわしの
    大漁だ。

    はまは祭りの
    ようだけど
    海のなかでは
    何万の
    いわしのとむらい
    するだろう。

    Reply
  3. shinichi Post author

    つもった雪

    by 金子みすゞ

    **

    上の雪
    さむかろな。
    つめたい月がさしていて。

    下の雪
    重かろな。
    何百人ものせていて。

    中の雪
    さみしかろな。
    空も地面もみえないで。

    Reply
  4. shinichi Post author

    私と鳥と鈴

    by 金子みすゞ

    **

    鈴と、小鳥と、それから私
    私が両手をひろげても、
    お空はちっとも飛べないが、
    飛べる小鳥は私のやうに、
    地面(じべた)を速くは走れない。

    私がからだをゆすっても、
    きれいな音は出ないけど、
    あの鳴る鈴は私のやうに、
    たくさんな唄は知らないよ。

    鈴と、小鳥と、それから私、
    みんなちがって、みんないい。

    Reply

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