大分合同新聞

部活動中の熱中症、いじめによる自殺、交通事故…。竹田市穴井迫の理美容師渡部千鶴さん(46)は、不慮の死を遂げた子どもの肖像画を色鉛筆で描き続けている。人柄を表す柔らかさと写真のような精巧さがあり「子どもが戻ってきた」と絵を抱き締める母親も。これまでに10人を手掛け、悲しみに暮れる家族に寄り添っている。

2 thoughts on “大分合同新聞

  1. shinichi Post author

    写真:渡部千鶴さん(中央)。
        左は草野とも子さん、右は工藤奈美さん
        竹田市久住町

    **

    在りし日の姿 繊細に 色鉛筆で子どもの肖像画

    大分合同新聞

    https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2018/02/02/130618806

     部活動中の熱中症、いじめによる自殺、交通事故…。竹田市穴井迫の理美容師渡部千鶴さん(46)は、不慮の死を遂げた子どもの肖像画を色鉛筆で描き続けている。人柄を表す柔らかさと写真のような精巧さがあり「子どもが戻ってきた」と絵を抱き締める母親も。これまでに10人を手掛け、悲しみに暮れる家族に寄り添っている。

     渡部さんは、写真をもとに輪郭を描き、220色の色鉛筆で光と影を表現。家族から預かる七五三や卒業式などの写真には思い出が詰まっている。10枚以上の中からその子らしい1枚を選ぶ。「出来上がるまでが人の成長のよう」と、経過を写真に撮り、音楽を交えた映像に編集している。

     趣味で家族や動物を描いていた。2009年に親交のある工藤奈美さん(49)の長男剣太さん=当時(17)=が、竹田高校剣道部の練習中に熱中症で死亡したのを知り、迷いながら肖像画を提案。中学校の卒業式で見せた笑顔で作品「太陽と光の中で」を描いた。

     奈美さんは「子どもの思い出が一つ増えた」と感謝。その後、奈美さんを介して、同じような痛みを抱える親と出会い、作品を仕上げている。

     遺族が肖像画に持つ思いはさまざま。

     東京都の草野とも子さん(65)は03年、高校1年生だった長女の恵さん=当時(15)=を亡くした。バレーボール部の合宿中に倒れ、帰らぬ人となった。「絵を見たときに『めぐ、お帰り』と思わず声が出た。娘が生き返った気がした」

     奈良県の中学1年生だった香川莉子さん=当時(13)=は13年にいじめを苦に自殺し、母親(43)は、肖像画を抱えて卒業式に臨んだ。「写真だと遺影になる。絵を出席させたかった」。クラスメートたちは一緒に卒業を祝ってくれた。

     「亡くなった子どもたちに生きる意味を教えられる」と渡部さん。「この子たちが生きているときに出会い、話をしたかった」と色鉛筆を握っている。

    Reply
  2. shinichi Post author

    亡き子の肖像画、親の心癒やす 温かな絵柄に依頼相次ぐ

    by 菊地洋行

    https://www.asahi.com/articles/ASL2M4GQQL2MTPJB00D.html

    大分県竹田市穴井迫の理美容師、渡部千鶴さん(47)がいじめで自殺したり、不慮の事故で亡くなったりした子どもたちの肖像画を描き続けている。写真をもとに色鉛筆で描いた繊細な絵柄が、わが子を失った親たちの心を癒やしている。

    渡部さんはもともと色鉛筆画が趣味。動植物や家族をモチーフに描いてきた。

    亡くなった子たちを描き始めたきっかけは、地元の竹田高校剣道部で2009年、工藤剣太さん(当時17)が練習中に熱射病で死亡した事故。剣太さんの母親奈美さんは、小中学校時代の二つ上の先輩だった。

    先輩のために何かできないかと、剣太さんの中学校卒業時の写真を借り、1カ月半かけてA4サイズに描き上げた。写真から顔の輪郭や目の位置などを正確にトレースして描いた。

    奈美さんは「写真よりも温かみを感じる」と喜んでくれた。亡くなってしまって、もう息子と新しい思い出は作れない。そんな中で贈られた温かいタッチの絵に「思い出の品が増え、うれしかった」と奈美さん。

    以来、子どもに先立たれた親など…


    工藤剣太さんの肖像画


    篠原真矢さんの肖像画


    渡部千鶴さん=竹田市穴井迫


    Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *