「かくあまたの人を賜ひてとどめさせたまへど、許さぬ迎へまうで来て、取り率(ゐ)てまかりぬれば、口惜しく悲しきこと。宮仕へ仕うまつらずなりぬるも、かくわづらはしき身にてはべれば。心得ずおぼしめされつらめども、心強く承らずなりにしこと、なめげなるものにおぼしめしとどめられぬるなむ、心にとどまりはべりぬる」
とて、
今はとて天の羽衣着るをりぞ君をあはれと思ひいでける
とて、壺の薬添へて、頭中将呼び寄せて奉らす。中将に天人取りて伝ふ。中将取りつれば、ふと天の羽衣うち着せ奉りつれば、翁をいとほしく、かなしとおぼしつることも失せぬ。この衣着つる人は、もの思ひなくなりにければ、車に乗りて、百人ばかり天人具して上りぬ。
かぐや姫の昇天(二)
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『竹取物語』は、平安時代初期に成立した日本の物語。成立年、作者ともに未詳。
「かなしい」に「愛」の字をあてている。