全国がん患者団体連合会(全がん連)

このたびの本庶佑先生のノーベル生理学・医学賞の受賞は、私たちがん患者や家族に大きな希望をもたらし得るものであり、がんの克服に向けた貴重な一歩となることが期待されています。一方で、その成果の一つである免疫チェックポイント阻害剤は現状では効果が期待できるがんの種類などは限られており、免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用などもあることから、慎重に投与されることが必要な薬剤です。
本庶先生の研究をもとに開発された免疫チェックポイント阻害剤により、これまで治療法がないとされたがん患者さんの中に治療効果が現れていることは本当に喜ばしいことです。そうした効果を伝える報道を見聞きし、現在の治療法を中止して免疫チェックポイント阻害剤を使用すべきかと迷う患者さんやご家族が増えている現状があります。
しかし、有効性と安全性が確認され、免疫チェックポイント阻害剤が使用できる患者さんは限られていますし、適応となる患者さんの中でも効果は異なります。また、免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用や重篤な副作用の報告もあり、現時点では、すべての患者さんにとっての「夢の薬」とはいえません。こうしたデメリットも含め正しい情報が提供されることが、いま何より重要と考えます。
特に報道機関のみなさまには、免疫チェックポイント阻害剤を含む免疫療法についての正しい情報を冷静に伝えていただくようお願いいたします。

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One Response to 全国がん患者団体連合会(全がん連)

  1. shinichi says:

    免疫チェックポイント阻害剤を含む免疫療法に関する注意喚起

    一般社団法人 全国がん患者団体連合会(全がん連)

    http://zenganren.jp/?p=1526

    このたびの本庶佑先生のノーベル生理学・医学賞の受賞は、私たちがん患者や家族に大きな希望をもたらし得るものであり、がんの克服に向けた貴重な一歩となることが期待されています。一方で、その成果の一つである免疫チェックポイント阻害剤は現状では効果が期待できるがんの種類などは限られており、免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用などもあることから、慎重に投与されることが必要な薬剤です。このことを踏まえ、免疫チェックポイント阻害剤を含む免疫療法に関して、ここに注意を喚起する声明を発表いたします。なお本声明については、特に医学的な部分について勝俣範之先生 (日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授)より監修をいただいており、勝俣先生に感謝申し上げます。

    1.免疫チェックポイント阻害剤の適応と使用について

    現在(2018年10月5日時点)、国内で承認されている免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(販売名:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)、アテゾリズマブ(販売名:テセントリク)、アベルマブ(販売名:バベンチオ)、デュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)、イピリムマブ(販売名:ヤーボイ)であり、それぞれの適応は以下の通りです。

    ■オプジーボ点滴静注20mg/ オプジーボ点滴静注100mg

    悪性黒色腫
    切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
    根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
    再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
    再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
    がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
    がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
    >>参考:添付文書・2018年8月改訂第19版(PDF)

    ■キイトルーダ点滴静注20mg/キイトルーダ点滴静注100mg

    根治切除不能な悪性黒色腫
    PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
    再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
    がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌
    >>参考・添付文書:2018年4月改訂第8版(PDF)

    ■テセントリク点滴静注1200mg

    切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
    >>参考・添付文書:2018年4月改訂第3版(PDF)

    ■バベンチオ点滴静注200mg

    根治切除不能なメルケル細胞癌
    >>参考・添付文書:2017年9月作成第1版(PDF)

    ■イミフィンジ点滴静注120mg/イミフィンジ点滴静注500mg

    切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
    >>参考・添付文書:2018年8月改訂第2版(PDF)

    ■ヤーボイ点滴静注50mg

    根治切除不能な悪性黒色腫
    根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
    >>参考・添付文書:2018年8月改訂第7版(PDF)

    なお、免疫チェックポイント阻害剤では、致死的又は重篤な副作用、従来の治療薬ではみられなかった新しい副作用もあることがわかっています。その使用にあたっては、厚生労働省によるガイドラインに準拠した治療が行える一定の医療機関で治療を行うことが推奨されており、自費診療を行う一部のクリニックなどでは、科学的根拠が明らかでない免疫細胞療法との併用や、添付文書に記された投与量よりもはるかに少ない投与量での投与方法、重篤な副作用が出た場合などの緊急時に対応の出来ない体制であるなど、その有効性や安全性を担保できない危険な治療が行われている場合があり、注意が必要です。

    【参考】
    >>最適使用推進ガイドライン(独立行政法人医薬品医療機器総合機構:PMDA)
    ニボルマブ(販売名:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)、アテゾリズマブ(販売名:テセントリク)、アベルマブ(販売名:バベンチオ)、デュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)に関する最適使用推進ガイドラインが掲載されています。

    また、免疫チェックポイント阻害剤は国内や国外でその他のがんについての臨床試験が行われており、その有効性や安全性が検証されていますが、それらの有効性や安全性に関する科学的根拠は明らかでなく、残念ながら臨床試験において有効性に乏しいとの結果が出ているがんもあります。

    2.「科学的根拠の明らかな免疫療法」についての正しい情報の重要性について

    本庶先生の研究をもとに開発された免疫チェックポイント阻害剤により、これまで治療法がないとされたがん患者さんの中に治療効果が現れていることは本当に喜ばしいことです。そうした効果を伝える報道を見聞きし、現在の治療法を中止して免疫チェックポイント阻害剤を使用すべきかと迷う患者さんやご家族が増えている現状があります。

    しかし、有効性と安全性が確認され、免疫チェックポイント阻害剤が使用できる患者さんは限られていますし、適応となる患者さんの中でも効果は異なります。また、免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用や重篤な副作用の報告もあり、現時点では、すべての患者さんにとっての「夢の薬」とはいえません。こうしたデメリットも含め正しい情報が提供されることが、いま何より重要と考えます。

    特に報道機関のみなさまには、免疫チェックポイント阻害剤を含む免疫療法についての正しい情報を冷静に伝えていただくようお願いいたします。

    3.不確かな情報に惑わされないために患者さんやご家族ができることについて

    免疫療法に関心が高まる中で、科学的根拠の明らかになっていない免疫療法の情報も広がりつつあります。免疫チェックポイント阻害剤についても、科学的根拠の乏しい用量や用法で治療されていたり、有効性や安全性が確認されていないがんの患者さんに使用されていたり、法外な治療費を請求されるケースも散見されます。こうした不確かな情報に惑わされたいために、以下のことをお願いいたします。

    主治医や治療を受けている医療機関の医療者に相談すること
    自費診療で行っている免疫療法の情報には注意すること、がんが消える、治ったなどとの安易な情報、よく効いた個人の体験談が載せられている情報には気を付けること
    効果だけでなく、デメリットについても十分な情報を集めて判断すること家族など身近な人と一緒に考えること

    周囲の人は、不確かな情報をもとに安易に勧めないこと

    4.がん研究の一層の促進について

    国立がん研究センターの推計では、年間に100万人を超える人が新たにがんに罹患しています。希少がんや難治性がんなど、治療法が確立されていない患者さんもいます。特にそうした患者さんにとって有効な治療法が見つかるよう、がんの研究が促進され、必要な研究予算が確保されることを強く希望します。基礎研究を含むがん研究への効果的な予算配分、人材の配置などにより研究が一層促進され、多くの患者さんとご家族が希望をもって治療に望めるよう要望します。

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