新美南吉

ある日、でんでんむしは「自分の殻の中には『悲しみ』しか詰まっていない」ことにうっかり気付き、「もう生きていけない」と嘆く。

そこで別のでんでん虫にその話をするが「私の殻も悲しみしか詰まっていない」と言い、また別のでんでん虫も同じ事を言った。

そして最初のでんでん虫は「悲しみは誰でも持っている。自分の悲しみは自分で堪えていくしかない」と嘆くのをやめた。

4 thoughts on “新美南吉

  1. shinichi Post author

    デンデンムシノカナシミ

    https://ja.wikipedia.org/wiki/デンデンムシノカナシミ

    『デンデンムシノカナシミ』(「でんでんむしのかなしみ」)は、新美南吉による創作童話。1935年(昭和10年)に発表された。

    皇后美智子は幼少の頃によく聞かされた童話として本作を挙げており、1998年にインド・ニューデリーで行なわれた国際児童図書評議会の基調講演でもこの話を取り上げた。

    愛知県半田市にある新美南吉記念館では、このことを記念して本作の記念碑が設置されている。

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  2. shinichi Post author

    デンデンムシノ カナシミ

    by 新美南吉

    青空文庫

    https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/43403_16820.html

    **

    デンデンムシノ カナシミ

     イツピキノ デンデンムシガ アリマシタ。
     アル ヒ ソノ デンデンムシハ タイヘンナ コトニ キガ ツキマシタ。
    「ワタシハ イママデ ウツカリシテ ヰタケレド、ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ カナシミガ イツパイ ツマツテ ヰルデハ ナイカ」
     コノ カナシミハ ドウ シタラ ヨイデセウ。
     デンデンムシハ オトモダチノ デンデンムシノ トコロニ ヤツテ イキマシタ。
    「ワタシハ モウ イキテ ヰラレマセン」
    ト ソノ デンデンムシハ オトモダチニ イヒマシタ。
    「ナンデスカ」
    ト オトモダチノ デンデンムシハ キキマシタ。
    「ワタシハ ナント イフ フシアハセナ モノデセウ。ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ カナシミガ イツパイ ツマツテ ヰルノデス」
    ト ハジメノ デンデンムシガ ハナシマシタ。
     スルト オトモダチノ デンデンムシハ イヒマシタ。
    「アナタバカリデハ アリマセン。ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス。」

     ソレヂヤ シカタナイト オモツテ、ハジメノ デンデンムシハ、ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
     スルト ソノ オトモダチモ イヒマシタ。
    「アナタバカリヂヤ アリマセン。ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス」
     ソコデ、ハジメノ デンデンムシハ マタ ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
     カウシテ、オトモダチヲ ジユンジユンニ タヅネテ イキマシタガ、ドノ トモダチモ オナジ コトヲ イフノデ アリマシタ。
     トウトウ ハジメノ デンデンムシハ キガ ツキマシタ。
    「カナシミハ ダレデモ モツテ ヰルノダ。ワタシバカリデハ ナイノダ。ワタシハ ワタシノ カナシミヲ コラヘテ イカナキヤ ナラナイ」
     ソシテ、コノ デンデンムシハ モウ、ナゲクノヲ ヤメタノデ アリマス。

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